第24話 発表

 課題発表の授業の日がきた。

 ディレイ先生が一人一人の魔法アイテムを確認していく。

 

「なるほど、斧の柄が伸縮するようにしたのですね。

 遠近で使えるからとてもよいアイテムだと思います」 


「ほう、ポーションを固形物に、確かに液体だともち運ぶときビンなどが必要ですものね」


「イザールくんは...... 

 剣に重力を付与ですか、なかなかおもしろいですね」


 そういいながらディレイ先生はみて回る。


「ザインくんは、鎧ですか?」


「そうです。

 鎧に軽さと柔らかさを加えてみたんですよ」


「ほう! 確かに金属なのに柔らかくしかも軽い。

 複数の効果ですか、これは......

 紫光石パープルライトジェムですね。

 リビィくんのは」


「ボクは弓と弦ですね」


「これはかなり強度をあげている?

 なるほど近距離での戦いができるように、それに弦に反発力を......

 なるほど威力を増すのですね。 うんうん」


「では、最後はユーヤくん。

 これはただのナイフではないですよね?

 何故か刃も丸くしてる......」


「ええ、こうやって魔力を加えると切断力が増します」


 オレが剣をもって柄の魔法石に魔力を流すと、刃が激しく振動する。

 

「これは......

 取りあえずこれを切ってもらえますか」


 先生が太い木を魔法でだした。

 オレはそれを両断した。

 

「おおーー!!」

 

 と教室に歓声があがった。


(なんか盛り上がった)


「ふむ! 面白い!

 この軽い刃のないナイフが振動だけでここまで威力が上がるのですね!

 これは素晴らしい!」


 ディレイ先生から絶賛され課題を終えた。

 オレたちは寮に戻った。


「これでみんか留年はなさそうだな」


「だね!」


「助かったぜ!

 でもよユーヤ。

 あの振動の俺にも教えといてくれよな」


「かぶったら減点だといわれてたろ。

 それにお前たちの魔法石は限界だろ」


「そうだね。

 これ以上効果の重複はできないから聞いてても使えないか」


「まあな。

 俺は鎧の方が必要だしな。

 また魔法石見つけたら槍につけてくれよな」


「わかったよ。

 ああ、そうだリビィ、今日はフェルスがどこにいるか知ってるか?」


「うーん、確か今日はビオリムさんが職人の仕事があるから、仕事クエストしてないはず、きっと宿屋にいるよ」


「ちょっといってくる」


 オレはフェルスに会いに寮をでた。



 宿に着くと庭でフェルスが剣をふっていた。


「おう、どうしたユーヤ?」


「フェルスは稽古」 


「ああ、一日でもしないと感覚が鈍るからな」


「あのさ、オレに剣を教えてくれないかな」


「お前に?

 お前には魔法があるだろう」

 

 フェルスは不思議そうに答えた。


「正直、魔法があっても、オレは誰かに守ってもらわないと戦えないからな。

 一人になったとき身をまもる方法が必要なんだ」


「一人では戦えないか。

 みんなで戦えばいいだろう。

 お前は戦況もみれるし、機転もきく」


「オレもだらけていきていたかったけど、この世界じゃそうもいかない。

 いつ一人の戦闘があるかもわからないからな。

 だめかな」   


「いや、かまわないよ。

 お前には恩もあるし、オレが知る剣なら教えてやれる」


「ありがとう」


 さっそく今日からオレはフェルスに剣を教えてもらうことにした。



「いてて、かなり打たれた。

 木の剣でも痛いな......

 見えてても体がついていかないな......

 もう少し鍛えないと」


 オレは体をさすりながら寮への帰路についた。



「クックック、だいぶ派手にやられたな」


 ザインがからかう。


「うるさいなザイン。

 お前は教えてもらわなくてもいいのかよ」


「そうだなやるかな。

 俺は元から戦い方は我流だし、近場のモンスター狩ってただけだからな」


「それでその強さかよ」


「ザインはリザードマンのエリートだよ」


 リビィはそういって笑った。


「確かに戦闘力は高いな。

 でも固有魔法はすごいが魔法はそんなでもないだろ」


「まさしくそうだ......

 つまりは田舎じゃ神童でもってやつだ。

 ここにきてビックリしたぜ。

 こっちじゃ並か平均より少し上ってとこだった。

 俺より強いのがごろごろいやがるからな」


「そうそう。

 ボクだって一応地元じゃそこそこ優秀だったんだ。

 なのにいまや劣等生さ」


「そうなのか。

 お前ら結構苦労してんな

 ただのお調子者コンビだと思ってた」


「誰がお調子者コンビだ!!

 ただまあ、確かに調子乗ってたな。

 いい経験になったよ」


「そうだね。

 早めに気づいてよかったよ。

 手遅れになるまえにね」



 そういってオレとザインとリビィは笑った。

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