第25話 ザイン
オレとザインとリビィはそれからフェルスに剣を教えてもらった。
「ぐわっ!」
オレが吹っ飛ばされる。
「ようこそ......」
先に吹っ飛ばされていた寝ていたリビィがいった。
「くっ!」
ザインも膝をついた。
「ふー、三人の中でやはりザインが一番強いな。
とはいえ、技術というよりは本能に頼ってる感じだけど、これから技術をえればかなり強くなりそうではあるな」
フェルスが汗もかかずそういう。
「はあはあ、本当かよ。
全くかすりもしないぜ......」
「フェルス、エルフってみんなそんな強いの?」
「いや、剣術だけならオレは国でも強いほうだな」
リビィの疑問にフェルスはそう答えた。
「それで牢の兵士か。
使う場所間違ってないか」
オレの質問にフェルスは少しおしだまった。
「......オレは魔法があまりうまくなくてな。
近衛騎士団に入りたかったんだがうまく行かなかったのさ」
静かにそういって頭をかいた。
「さあ、それより訓練だろ。 訓練。
さっさとたて」
オレたちはそれから二週間叩きのめされることになる。
「痛い、痛い」
「大丈夫かリビィ」
「まあ、あれだけ叩かれればな......
というオレも痛いが、ホレポーション」
寮の部屋に帰ったオレたちはフェルスのしごかれ動けなくなっていた。
「でもみんな、かなり動けるようになったな」
「うん二回に一回はかわせるようになったよ」
「まあ少し剣術も使えるようになったな。
やはりちゃんとした剣術を学んだ方が成長するな」
その時部屋のドアがノックされた。
「おい、ザイン手紙きてるぞ」
「ああ、ありがとう」
寮の生徒がザインへの手紙をザインに渡す。
「リビィは反応が速いな。
オレは三回に一回しか見きれない。
それに打撃もかなり強い」
「まあ、目はいいからね。
正確に矢を射るには必要だから、あと筋力も弓をひくには必要だし」
「オレは魔法が使えないと、元々身体能力はふつうだしな」
「でも、その割には結構かわしたり、反撃してるけど」
「予測してかわしてるだけだ。
筋力がないから打ちきれないけどな。
ん? ザインどうした? 手紙は?」
「ん、ああ別にいつもの手紙さ」
「......」
リビィが黙ってザインをみている。
そして次の日、ザインは練習を休んだ。
「どうしたザインがいないな」
フェルスがいう。
「なんかちょっと寝違えたらしくて」
「......ねえ、昨日ザイン様子おかしくなかった」
リビィがそういう。
「そうか、いつも通りだったろ」
オレが言うと首をかしげる。
「そうかなあ......」
「まあいい練習を始めるぞ。
お前たちもかなり強くなっているから、今日からメニューを増やすからな。
覚悟しておけ」
「ヒィィィィイ」
オレとリビィは恐れおののいた。
「い、痛い、メチャクチャだ......死ぬ」
「は、八十回は殴られたよ......」
オレとリビィは這うようにして寮に戻った。
「あれ? ザインがいないぞ」
「どっかにいったのかな?
サボったりするわけないけど......」
その日ついにザインは帰ってこなかった。
「おかしいな帰ってこない。
こんなことは今までなかったのに」
「うん、必ずどこにいくか伝えていったはず......」
次の日オレとリビィが学園に向かいながら話す。
ブライト先生が教室に入ってきた。
「先生。
ザインがいないんですが」
「ああ、ザインは今地元のコレッド王国に帰っている。
しばらく休学だそうだ」
「えっ!?」
オレとリビィが顔を見合わせた。
授業終わりに二人で話す。
「おかしいな。
地元に帰るならオレたちに何もいわないはずはないんだが」
「うん、あれだ手紙がきてからおかしかった。
きっと国でなんか起こってるんだよ!」
オレたちは授業を抜け出し、フェルスのもとに走る。
「なに!? ザインが国に!!
まさかあれか......」
「なにか知ってるのか?」
「ああ、今にオークが不審な動きをしているって話がギルドで噂になっててな......
リザードンの国はオークの国と隣接してるから......
もしかしたら......」
「オーク?」
「ああ、かつて魔王がエルフを捕まえて尖兵にするべく、実験台にして作り出した存在だ。
人間並みの知能はあるが、どちらかといえばモンスター扱いだな。
が魔王の死後、自我をもち比較的穏やかに暮らしていたはずなのに」
「そんなことより、早くザインのもとにいかなくちゃ!」
リビィはあせっていった。
「そうだな」
「オレも行こう!」
オレたちとフェルスはリザードマンの国、コレッド王国に向かった。
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