第23話 魔法石採掘

「ここか......

 かなり暗いな......

 ザイン見えるか」


「ああ、俺なら見える」  


「警戒頼むよ。 

 ザイン」  


 うす暗い洞窟の中を三人で歩く。

 オレたちはビオリムさんが教えてくれた洞窟に来ていた。


「ここの地下にかなりいい魔法石が埋まってるらしいけど、何を作るか考えてるのか二人とも」


 オレが二人に聞いた。


「俺は鎧だな。

 軽くする魔力を付加した鎧を作りたい。

 今の鎧じゃ重すぎて機敏に動けないからな」

 

「ボクは弓に矢を放つときに付加する効果かな。

 どうしても一つ一つの矢の威力が上がらないから。

 でユーヤは」


「オレか......

 二人とは違ってオレは攻撃力がまるでないからな。

 一人でも立ち回れるように武器に効果を付加したいんだが......」


「だったら爆発かな。

 あれの威力をあげたら」


「それじゃ、それに耐える武具じゃないと粉々になるぞ。

 炎とか氷とか風属性の付加だろ」


「もっとなにかないかとおもって」  


 オレはそういうとおもむろに小石を手に取るとそれに魔力マナを注いだ。

 その小石は強い光を放った。  


「おお! 光った!」


「明かりの魔法!?」  


「ああ、音が込められるなら光も込められると思ってやってみたんだ。

 他にも硬化、投影、温度なんかも込められる」


「すげーな! そんなに魔法を使えるようになってたのか!」


「図書室で本を借りてな」


「そういや夜遅くまで何かしてたね。

 魔法が得意なんだから剣とかじゃなくて杖にしたら。

 魔法をブーストしてくれるし」


 リビィが提案してくれる。


「うーん...... 杖か......

 確かに軽そうだけどな」


「いや、剣や槍、斧とかの刃物を使う敵相手だと杖は危険だな。

 やはり剣か槍かだな」 


「あとで教えてくれるかザイン」


「いいけど、俺よりフェルスに教えてもらったほうがいいぞ。

 オレは我流な上、腕力に頼った力任せだからな。

 多分フェルスは剣技を習得してるはず、動きが洗練されてるからな。

 俺も習おうかと思ってるんだ」


「なるほど。

 確かにフェルスは華麗な剣術を使うな。

 でそのフェルスは今日何してる?」


「んーと、ビオリムさんとギルドの仕事クエストだよ。

 ボクたちといないときはビオリムさんと組んでるらしいから」


「なんかよ。

 かなり高難度クエストもやっててファンまでいるって話だ」


 そういったザインとリビィが羨ましそうな顔をした。


「まあ、あの顔じゃそうだろうな。

 アイテムができたら剣術を教えてもらうか......」


 オレたちは洞窟内をモンスターを倒しながら進む。


「なんか暑くなってきてないか......」


「ここは火山に近いからな」


「はへー暑い...... 疲れた......」


 奥に進むと広い場所にでた。

 誰かが掘削したのか砕かれた岩壁がある。

 

「ここか、早速掘ろうぜ」

 

 ザインが背負ってたバッグからつるはしを取り出す。 

 オレたちもつるはしを取り壁を掘る。


「それにしてもここまで簡単にこれたな」


「うん、ビオリムさんの話だと、危険なモンスターもいるって話だったのにね」


「死にかけたから今は来てないって言ってたのにな。

 俺の感知にもなんの反応もない」


 掘り始めてかなりたつが魔法石らしきものはない。

 茶色の岩がでてくるだけだった。


「ふぅ、でてこないな。

 やっぱそう甘くはないか」


「まあ、仕方ないね。

 レアな魔法石なんだから、絶対に手に入るとは決まってないし」


「そうだな。

 少し休憩しようか......

 ん?」


「どうしたユーヤ?」


 オレは岩のなかに光るものを見つけた。

 手に取ると紫に光る鉱物だった。


「魔力を感じるな......」


「おいそれ! 魔法石だろ!」


「すごいや!」


「二人ともここを掘ってみろ」


 ザインとリビィと共に同じ場所を掘ると、同じ鉱石がでできた。


「やった!!」


「これ紫光石パープルライトジェムだよ!

 かなりレアな魔法石だ!」


 リビィは石を掲げて小躍りしている。


「これならかなりの魔力、魔法を込められるな」


「よし! 少し休憩したら帰って作るぞ!」


 そうザインがオレたちいうと急にピシッピシッという音がして壁に亀裂が入った。


「これは!?」


「嘘だろ!!」


「まずい逃げよう!」


 逃げようとすると壁から大きなゴツゴツした岩の手がでできた。

 さらに人の形の岩のかたまりが壁からでて動き出した。


「この岩の塊! 

 ストーンゴーレムか!!

 俺の探知に反応はなかったのに!!」


 ザインが叫ぶ。

 

「生物じゃないからだ!」


 オレがそういってる間に通路に向かう壁から二体目の人型の岩が現れる。


「二体も!

 どうするユーヤ!?」  


「逃げられないか......

 やるしかないな。

 ザイン弱点はないのか!」


「こいつらははるか昔、人工的に創られた人造ゴーレムだ!

 確か胸に核となってる魔法石があるはずだが、こいつらは動きが遅いがとにかく固い!

 前に戦ったときは逃げた!」

 

 つるはしを槍にもちかえたザインはそういって前にでる。


(なら、魔法か)  


「オレが魔法を仕掛けるまでザイン、リビィ頼むぞ!」


「ええ!?

 ボクも!」   


 二人がゴーレムを引き付けてる間にオレは魔力マナを貯める。


(炎、風では弱いか......

 貫通する魔法はないか......

 固いものを壊すには熱して、凍らせれば脆くなるが......

 いや片方ずつしか使えない......)


 オレはもってるつるはしをみた。


(道具......

 ハンマー、つるはし、ノコギリ......

 もしかしていけるかも!)


 つるはしに魔力をこめオレはゴーレムに近づく。

 そしてつるはしを振りかぶる。 

 

「ここだ!」


 オレは魔法を発動すると、つるはしの頭部の片側を爆発させ脚に撃ち込むと更にもう片方も爆発させた。

 ゴーレムは脚が砕け倒れる。

 

「うわっ!」   


 その声を聞き見るとリビィがゴーレムに捕まっていた。

 オレは腰のナイフに魔力をこめゴーレムの胸に投げつけた 

 

「リビィ!! ナイフを射てくれ!」 


 リビィがそのナイフに魔法の矢を撃ち込むと、ナイフが岩の胸に刺さり中へと進んでいった。

 そのあと中から何かが砕ける音がすると、ゴーレムの動きは止まり膝から崩れ落ちた。

 隣を見るとザインもゴーレムの胸を貫いたらしく、ゴーレムが倒れている。


「はあ、なんとか倒せたな」


「ああ、助かったぜユーヤ」


「ふう、でもユーヤなにしたの。 

 投げたナイフが胸の岩を食い込んでいったけど」


「ああ、魔法で振動を付与した。

 強力な振動は貫通力をあげるからな。

 だけど、それもリビィの魔法の矢でおしてもらってだけどな」


「えへへ。

 それほどじゃないけど」  


 リビィは照れていった。


(これは使えるかもしれないな) 


 

 オレはそう思い紫光石パープルライトジェムを手に町に戻った。

 

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