第14話 捕縛

 オレたちは捕らえられ軽く尋問され牢にいれられた。

 みんなそれぞれ別の牢にいれられている。

 他の牢に人はいないみたいだった。


「オレは何にもされてないがら大丈夫だったか......

 お前たちはどうだ。

 言葉はわかるよな?」

 

「ああ、おかしいな特になにもされてない......

 拷問でもされるかとおもったがな」


 ザインがそういう。

 

「あの宝石で魔法が使えなくなったみたいだな......」


「うん、あれはエルフの国宝の封印魔石シールストーンだね。

 一時的に魔法が使えなくなるやつだ。

 六英雄の昔話ででてきた」


 リビィがオレにそう答えた。

 

 近くにいる兵士が黙ってこっちをみている。


「これからどうなると思う......」


「よくて国外追放か、悪くて懲役か」


「まさか死刑ってことはないよね」 


「一応他国の者をいきなり死刑はな」


「そうともかぎらないぜ」


 横にたっていた兵士が話しかけてきた。


「なんだよ。

 ただ王宮にに入っただけで死刑はないだろ」


 ザインがいうと兵士は首をふった。


「いいや、お前たちはただの侵入者じゃない。

 女王暗殺未遂犯として収監されている。

 死刑になる可能性は高い」


 整った顔の若い金髪のエルフの男がそういった。


「まずいな。

 それでたいして調べられもしなかったのか、あり得ない話じゃないぞ......」


「うん......

 最初から決まってるなら調べる必要もないもんね」


 ザインとリビィがそういった。


「......いまこの国はラハラール様が実権をにぎっているからな。

 あの方の思いどおりに判決が下される」


「ルイエは!

 ジルエストさんはどうなる!?」


 オレが兵士にきいた。


「ルイエ様は王女、ジルエスト様は上級貴族、殺されることはないだろう。

 そんなことをすれば恐らくルイエ様よりの貴族や国民たちが反乱でもおこしかねない...... 

 せいぜい軟禁程度だろう。

 お前たちを処刑して終わりさ......

 それにしても何でお前らはこの国にきた......」


 エルフは怪訝そうに聞いてきた。


「オレたちは女王を殺しにきてなんかいない」


「そんなことはわかっている。

 仮にルイエ様が女王の座を狙ったとしても、お前たちのような子供に暗殺などさせまい。

 オレが聞きたいのはお前たちがきた本当の理由だ......」


「なぜそんなことを聞く......」


「話し次第では逃がしてやる」


「......本当だな」


「おい! ユーヤ信じるつもりか!

 なにかたくらんてるかもしれんぞ!」


 ザインが叫ぶ。


「とはいえ、オレたちがここから逃げる方法はないからな。

 それにこいつがえて得になる情報なんてないしな」


「で何でこの国にきた......」


「オレたちはこの国に薬を届けにきた......」


「薬!? やはりそうか!」


 オレが言うとその男は興奮気味に語る。


「お前...... 薬が欲しいのか」


「ああ、オレの妹が病に倒れた......

 かなり悪くなってきている......

 オレの稼ぎじゃポーションを買い続けるのも回復術士を雇うのも無理だ......

 その薬まだあるのか!」


「ああ、隠してる分がある」


「頼む! それを分けてくれ!

 ここから! この国から逃がしてやるから!」


 エルフは懇願してくる。


「だがオレたちを逃がしたらお前は確実に牢やいき、最悪死刑だろ」


 ザインがいった。


「仕方ない......

 妹の命にはかえられん。

 オレはこの国から逃げればいいだけだ」


「......わかった。

 薬は渡す」


「本当か!! 

 よし夜まで待て、次の交代時間でここから逃がす!」


 そのエルフはフェルスと名乗り交代していった。


「ラハラールに伝えて隠してる薬を奪うつもりじゃないか」                                               


 ザインはそういう。


「いや、聞きたいことがあるなら拷問してでも聞けたろ。

 それをしなかったのは、もう目的をはたしたと思ってるからだ。

 ルイエの王位への正統性さえ失わせればいいだけだ。

 ルイエに疑念を持たせれば、自分が王位につきやすくなる。

 だからこれはラハラールじゃなくてあいつの事情だろう」


「まあ確かに......」


「そうだね。

 ボクも信用できると思うよ。

 ラハラールはボクたちがここになんできたかなんて興味ないんだよ。

 薬のことを考えてるなら、ジルエストさんの屋敷を探せばいいだしね」


 オレたちは夜までまった。

 夜になると交代でフェルスがやってきた。


「今門の奴らに眠り薬を入れた酒を渡してきた。

 じき眠りにつく」


「おいおい、仕事中だろ。

 酒なんて飲むのか」


 あきれてザインいう。


「みんな堕落してるんだ。

 ラハラールは身内か利益のある奴にしか優遇しないからな。 

 他の奴らのやる気や忠誠心なんて皆無だよ。

 オレが確認してくる」


 そういってしばらくしてからフェルスは外に見に行にいき、すぐ帰ってきた。


「よし! 眠ってるぞ!」


 フェルスはそういうと牢の鍵をあけた。


「正門を開ける!

 馬車は用意してるから、外に走れ!」


「よし! まず俺の《見えざるもの》だ」


 ザインが魔法を使いオレたちは姿を消した。


「姿を消せるのか!」


 フェルスが驚いている。

 そしてオレたちは正門が開くと走り出した。

 後ろで兵士たちが騒いでいる。

 オレは門のところに魔法を使い設置した。

 後から数名がかけてくる。


「ちっ、追っ手か」


 オレは魔法を発動した爆発が起こり兵士たちが驚いている。


「牢にいないことはすぐばれる!

 逃げられるだけ逃げるぞ!」


 フェルスはそういう。

 オレたちは正門を越えると用意してあった馬車に乗り込んだ。


「ジルエスト様の屋敷だな!」


「ああ!」



 フェルスが馬車をかりジルエストさんの屋敷に馬を走らせる。

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