第4話 仕事《クエスト》

 次の日俺たち三人は街に来ていた。

 街は石畳の道が続きヨーロッパ風の建物が整然と建ち並ぶ。 


「ここがユクルの街か」

 

「お前きたことなかったのか?」


 不思議そうにザインにそういわれた。


「ああ、通っただけだよ」


 そう来たときに馬車で通っただけで、ゆっくりみたのは初めてだった。

 歩いてる種族は人間以外にもリザードマン、ホビット、ドワーフなど様々だった。

 たまに武具やローブに杖を持った奇妙な者がいたが、多くの人は裕福そうに見える。


「なあ、剣とか杖とか持ってる奴らがいるんだが何者だ?

 兵士とかにしては統一感もないし、傭兵かなにかか?」


「ちょっと違うけど......

 まあ、似たようなものかな」 


 リビィが歩きながらいった。

 

「ホラ、ついたぞユーヤ」


 ザインにいわれ見るとそこは大きな建物だった。

 二人にいわれるまま中に入ると、中にはひとくせもふたくせもありそうな男女がたむろしていて、武具を身に纏っている。


「おい、ここどこだ。

 コスプレしようって訳じゃないよな」


「まあ、ついてこいって」


 ザインはそう言うとカウンターで受付と話している。


「なんかいやな予感がする......

 ここでなにするんだリビィ」


「まあ、バイトたよ」


 リビィはニヤニヤしながら言った。


「バイト?」


「そうここは冒険者ギルドなんだ」


「冒険者ギルド?」


「ああ、ここでクエストって依頼を受けてその仕事をするのさ」


「バイトの斡旋所か......」


「僕たち亜人デミヒューマンはそれほど裕福じゃないんだ。

 学費は特別に無料だけど生活費はかかるから、ここで仕事を受けてそのお金で生活してるのさ」


「で、どんな仕事だ」


「色々さ、アイテム入手、護衛、輸送、そしてモンスター討伐まであるよ」


「なっ! モンスターと戦うのか?」


「まあ、僕たちが受けるのは需要の多いアイテム入手さ。

 二人だと持てる量が少なかったんだ。

 ユーヤが手伝ってくれれば多く持てるだろ」


「そのくらいなら手伝ってやれるけど......」


「クエストは受けた。

 薬草の採取、あるだけ買い取ってくれる」


 ザインが笑いながらそう言って歩いてくる。


「じゃあ学園の裏のサイマインの森だね」


「おいおい! モンスターがでる森だろ!」


「大丈夫だよ。

 あそこの森にでるモンスターなら俺たちが倒せる。

 お前は荷物さえ持ってくれりゃあいいから」


 ザインは肩をバンバン叩いてそう言った。


「しょうがないな」


 オレがそう言うとザインとリビィの二人は協会に預ていた槍や弓、鎧を身につけた。

 そして三人で学園の森に向う。



 森に着くと歩きながら薬草を探す。


「ホントに大丈夫なんだろうな。 

 まだこの魔法も使いこなせないし、こんなナイフ使ったこともないんだぞ」


 オレはザインが貸してくれたナイフを鞘から抜いて言った。


「大丈夫だ。

 ここいらにでるモンスターは弱いからな。

 俺とリビィで倒せるよ。

 お前は薬草持つのを手伝ってくれるだけでいいよ」

 

「あっ! あったよ! あれだ!」


 リビィが指差すと、そこには青い花が群生している。


「あれが薬草か......どうみても花だけど」


「花じゃなくてその下に生えてる草の方だ」


「ああ、この丈の短い草か」


 俺たちはさっそく草をかごに摘んでいく。


「これ薬草なのか」


「ああ、これをこしてその液に魔力マナを注ぐと回復薬(ポーション)になる。」


「ポーション!」


(いや、オレの知ってる単語に置き換わってるだけか......)


「なあ回復薬ポーションって何でも回復するのか」


「いいや、傷だけだよ。

 当然切れたり、なくなった部分は回復しない。

 回復魔法も同じさ。

 まあ切られた部位があればくっつけたりできるけどね」


 薬草を摘みながらリビィはいう。

 その時、茂みの奥でドンという音がした。


「おい! みんな立て!」


 ザインが立ち上がり槍を構えた。

 すぐにリビィが弓を携える。

 どんどん音が近づいてくる。

 木の影から丸太ぐらいの大きなトカゲが現れた。


「コモドドラゴン? オオトカゲ? もっとデカイか」


「ヤバい......少しづつ後ろに下がるぞ」


 ザインがそう言う。

 緊張しているようだ。


「おい、なんだあれ......

 ただのデカイとかげじゃなくモンスターなのか」


「......あれはバジリスクだ......」


 

 リビィは顔をこわばらせて小さく呟いた。

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