第11話・オークとの戦闘

 僕は覚悟を決めた。

 強くなるためにこの命を賭ける覚悟を。


 さあ。というわけで、森の奥に進もう。

 森の奥にはゴブリンの集落にオークの集落、そしてオーガの集落が存在している。

 ゴブリンは純粋に数が異常に多く、一匹見かけたら二十匹はいる恐ろしい存在だ。オークは数も多く力も強く。そのくせ狼よりも強く群れで行動する。オーガは基本単独行動だが。化け物みたいに強く、その手に持ったこん棒を一振りするだけで木々をなぎ倒す歩く災害だ。


 今までの僕ならばもっと強くならなければ行かないであろう恐ろしき場所。

 しかし。今の僕は違う。覚悟を決めたんだ。

 さあ。行くぞ僕。強敵と戦うんだ。


 そうして覚悟を決めた僕は森の奥へと進んでいった。


 ――――――――――――――――――

 森の奥に入ると明らかに木々が大きくなっている事に気が付く。更にふんわりと何となくではあるが、空気中に多量の魔力が含まれているように感じる。不思議な感覚だ。この場所でなら自分の実力以上の魔法が使えるような感覚。


 ピコン

 スキル【魔力察知】を獲得しました。

 副次効果として魔力が10上昇します。


 スキル魔力察知を獲得した途端に僕は周囲の魔力が手に取るように分かった。


「凄いな。なんて魔力に溢れているんだ。少し実験をしてみるか。幸い近くに魔物はいないし」

 僕は自分の持つMPではなく周囲の魔力をMPに変化するように意識をしてみる。


「うん。行ける気がする。水魔法・放水」


 ジャワーーーーーーー

 水が僕の手から放たれる。


 ピコン

 スキル【魔力変換】を獲得しました。

 副次効果としてMPが100増加しました。


「よし。成功した」

 僕は一人そうガッツポーズをとる。

 それくらいこの試みが成功したのが嬉しかったのだ。


 僕が試みたのは周囲の魔力をMPに変換して自分のMPを消費せずに魔法が使えないかという事だ。

 もちろんこれをするには少し集中力がいるし、今の場所みたいに魔力が豊富な所でないと発動しない。なんなら普通に自分のMPを使った方が威力は高いと思う。それでもこれを使えばMP消費をゼロに出来るんだ。それも副作用とかデメリットみたいなのはゼロで。これは凄く使える。


「お。ちょうど良い感じで気配察知にオークが引っかかったな。さあ。戦いを始めよう」


 ――――――――――――――――――


 オーク

 それは身長180くらいで体重は100キロを優に超える、多量の脂肪と筋肉を身に纏う人と豚を掛け合わせたような魔物だ。

 ある程度の知能があり、オーク語と呼ばれる言語を使う。

 集落を作るようになると自分達の力だけで武器を防具を制作するようになったり。農作物を始めたりする。

 基本的に雑食であり何でも食べる。もちろん人間も食べる。

 オークの上位種になると魔法を使いだし、屈強な肉体に魔法まで使えるという事で非常に討伐が困難となる厄介な魔物となる。

 オークの脂肪は非常に厚く並の剣では内臓まで届きすらしない、また、しっかりと筋肉もある為。オークの太い腕から放たれる一撃は人を一人簡単に粉砕させるだけの力がある。


 ――――――――――――――――――


「さて、オークの数は3か。中々にキツそうだが、ここで引いて逃げるようじゃあ、僕はいつまでたっても強くなれない。僕は覚悟を決めたんだ。だからかかってこい豚野郎。ひき肉にしてやる」

 僕は目の前に現れたオークにそう威圧をした。

 流石に狼のように硬直とまではいかないが。一瞬。そう一瞬だけオークの動きが鈍った。

 そのスキを見逃す程僕は馬鹿ではなかった。


「魔力変換発動・火魔法・火槍」

 僕はMP消費ゼロで火槍を3本作り出して放つ。

 火槍は上級投擲の効果もあってかオークの頭にしっかりとヒットする。

 それによって更に怯むオーク。

 ここから石を投げてけん制しようと考え。地面を見て。ふと気が付く。石が無いということに。

 どうやら森の奥には石がないようだ。ついでに枝もないようだ。

 軽い絶望感が襲ってくるも。今は戦闘中だとすぐに気持ちを切り替えてどうすればいいか考える。


「そうだ。土魔法だ。土魔法で土を作って硬くして投げればいい」

 今現在極限状況の中僕の魔法の才能は一瞬で開花した。


 ピコン

 スキル【土魔法】を獲得しました。

 副次効果として魔力が10・MPが100増加しました。


「よし。スキルを獲得できたぜ。やっぱり極限状態でこそスキルは獲得できるものだな。さあ、行くぞ。土魔法・土生成」

 僕は手のひらに土を生み出してぐっと魔力を込めつつ硬く握りしめて石よりも硬い土玉を作る。

 そしてオークの頭めがけてぶん投げる。


「ブゴ」

 オークが間抜けな声を上げながら倒れる。

 だけど、死んではいない。


「追い打ちだぜ。火魔法・火弾」


 ダンダンダンダン


 良い音を立てて、魔法がオーク3匹に炸裂する。


「ブオオオオオオ」

 煙が大量に湧き。中から2匹のオークが突進してくる。

 どうやら1匹は丸焦げになったようだ。


「よし。後2匹だ。せかっくだ、僕のスキル獲得のための踏み台になってくれよな」

 僕は風をイメージする。大きな風だ。強い風だ。全てを切り裂く鋭利な風だ。


「さあ。風よ我が前に立ちふさがるオークを蹴散らせ、風魔法・風刃」

 僕の声に反応して風の刃がオークを切り裂く。

 しかしオークの皮膚は厚く薄皮程度しか切り裂けなかった。


 ピコン

 スキル【風魔法】を獲得しました。

 魔力が10・MPが100上昇しました。


 でも、スキル風魔法を手に入れたし。収穫としては十分だ。

 さて、じゃあ、次の事件というか試したいことをやってみよう。


「火魔法・火炎」

 僕は火魔法を火炎を作り出す。ただし場所は僕の拳にだ。

 拳は思いっ切り熱い。でもこの熱さが良い。スキルを獲得出来そうで本当にいい。そしてこれだけ熱いのだからこの拳で殴ればオーク熱いはずだ。痛いはずだ。


 バシュ


 僕は襲いかかって来るオークに向かって冷静にジャンプをして顔面に火の拳を思いっ切り打ち込んだ。

 その瞬間オークの頭に火が付き、そのまま激しく燃える。


「ブオオオオオオ」

 オークの不細工な悲鳴が上がり、そのまま倒れた。


 ピコン

 スキル【火耐性】を獲得しました。

 副次効果として防御力が10・HPが100増加しました。


「よし。スキルを獲得出来た。そしてオークも残り1匹となった。さてでは同じように火の拳で倒していきますか」


 バシュ


 仲間二人がやられて怒り心頭のオークの腹に火の拳を打ち込む。


「ブオオオオオオ」

 痛みから叫び声を上げ、その場で倒れこむオーク。

 しかし。まだ生きている。

 だから倒れているオークに僕は火の拳をひたすらに打ち込んだ。

 殴って殴って殴って殴って殴って殴りまくった。

 そして気が付いたらオークはこんがり焼けていい匂いを放つ肉塊となっていた。(火の拳の火は止めています)


「凄くいい匂いだ。そう言えばオークの肉は美味しいって師匠が言っていたな。これは食べるしかないな」

 僕はそう結論を出すと。蔦を使って腰に巻いてある狼の牙を取り出してオークの皮を剥いでく。

 そうして肉を取り出すと。火魔法を使ってその場で焼いていく。


「では。いただきます」

 僕は両手を合わせていただきますという儀式をしてから、オークの肉にかぶりついた。


「うん。美味しい。いや見た目はあれだけど。凄く美味しい」

 そう一人感激しながらひたすらにオークの肉を焼いて腹に入れて焼いて腹に入れてを繰り返す。

 もちろん気配察知を使い周囲に魔物が来ていないことを確かめながらではあるが。

 そうしてひたすらに食べていた時だった。


 ピコン

 スキル【食い溜め】を獲得しました。

 副次効果としてHPが100増加しました。


「お。良い感じのスキルが手に入ったな。さて、もっと食べるぞ」

 そうして僕はオークの肉を心行くまで堪能するのだった。


―――――――――――――――――――――

スキル説明

【魔力察知】・・・レベル×一定回数以上、魔力を察知することで獲得できる魔法系統スキル。

 魔力を察知できるようになる。

 副次効果としてMPが100上昇する。


【魔力変換】・・・レベル×一定回数以上、周囲の魔力を自身の魔力に変換させることで獲得できる魔法系統スキル。

 魔力変換がスムーズに行えるようになる。

 副次効果としてMPが100上昇する。


【土魔法】・・・レベル×一定回数以上、土魔法を行使した場合獲得できる魔法系統スキル。

 土魔法の効果が上昇し。土魔法を行使する際のMPが減少する。

 副次効果として魔力が10・MPが100上昇する。


【風魔法】・・・レベル×一定回数以上、風魔法を行使した場合獲得できる魔法系統スキル。

 風魔法の効果が上昇し。風魔法を行使する際のMPが減少する。

 副次効果として魔力が10・MPが100上昇する。


【火耐性】・・・レベル×一回以上、大火傷レベルのダメージを受けるとことによって獲得できる耐性系統スキル。 

 火傷によるダメージを軽減できる。

 副次効果として防御力が10・HPが100上昇する。


【食い溜め】・・・レベル×一回以上、自分の限界をはるかに超える量の食べ物を食べることにより獲得できる補助系統スキル。

 食い溜めをすることが出来るようになる。

 副次効果としてHPが100上昇する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る