第4話 蜜月の終わりに

「タ―ン王国がナポリ王国に進撃した」


この報がハリスとホスタ―にほぼ同時に届いた。

「帰国の途に着くように」という命令と共に。


「ハリス、どうしましょう」


「うん。帰るしかないだろう。命令だ」


「離れたくない」


「それは僕も同じだよ」


「なぜ戦争なんか……」


「詳しいことは帰ってみないとわからないね」


「そうね。帰るしかなさそうね」


「また、会えるよ」


「本当に?軽く言うわね!」


「深刻がってもしかたないよ。被害が甚大にならないうちに終わらせないと……」


「うん、そうね。お互い立場があるから終戦に向けて尽力しないとね」


「そうだ。また会おう」


「うん、また会いましょう」


「あっ、さっきコインを投げたんだ。僕は賭に弱くてね!コインを落としてしまった。僕の国は負けるよ」


「私の国が勝つの?」


「勝つのは誰だかわからない……ニヤリ」



───────────────────☆



 タ―ン王国は自国の経済不況を隣国のナポリ王国の経済体制の相違によるものとし、国民の不満のはけ口とするためナポリ王国を侵略したものと想定された。


王宮にて、


「お父様、いかように納めますか?」


「おまえならどうする?ハリス」


「私なら……好機とします!」


「好機?なんの?」


「わかりませんが……」


「もういい、下がっておれ。モルト王子を呼べ」


(モルト王子は長兄。ハリスは用なしの烙印を思い通り手にした。すべてはこの日のために準備してきたことは王でさえ知らなかった)


 タ―ン王国の侵略は隣接地を統治した。ナポリ王国の迎撃は後手に回った。近代兵器で攻めいったタ―ン王国の進撃は進むと思われた。


 しかし、タ―ン王国を迎撃する組織がナポリ王国以外に現れた。超近代兵器を装備したレッドリボン軍と称する軍隊であった。ナポリ王国と連合でタ―ン王国の進撃を封じ込めた。


 ナポリ王国は逆襲に転じた。国境地帯を取り戻し、タ―ン王国に進撃した。すると今度はブルーリボン軍と称する軍隊がタ―ン王国と連合で迎え打った。


 ナポリ王国とタ―ン王国の戦火に隣国のペペロ王国が2国を敵に回してきた。ナポリ王国とタ―ン王国が停戦協定に手間取る間、レッドリボン軍とブルーリボン軍が連合でペペロ王国と戦った。



「やはりペペロ王国は動いたな!」


 ペペロ王国は反政府勢力のナポリ王国のレッドリボン軍とタ―ン王国のブルーリボン軍に武器の供与を行ってきた。そして両国の戦争と国内状勢の悪化を計るのが目的であった。


 そしてレッドリボン軍とブル―リボン軍の統括司令長官はハリスであった。ハリスの軍隊はナポリ王国、タ―ン王国、ペペロ王国に双肩していた。


「ナポリ王国とタ―ン王国の国王に伝えよ。休戦協定を締結せよ。敵などいない。国家統一を目指すのだ」


 ペペロ王国の2ヶ国への進撃を予想していたのはハリスとそのブレーンだけであった。


 2ヶ国はハリスの命令に従い停戦協定を締結し、4軍隊行進でペペロ王国を敗戦ヘと追い込んだ。

 







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