第7話

 第二の死者と言ったが、実際私は死んでいないので、一人目の死者だな。私は報告を聞いて驚いた。まさか本当に自分の思っていた通りになるなんて。これは全て私の計画通りだった。次の日にまた一人、そしてまた次の日に一人、次々と死んでいった。

 この現象はウェルテル効果に近いものだ。私は学校の中では知名度がある程度あり、人気もあった。故に、私の自殺の話を聞いて自殺をしようと思った人が出てきても不思議ではない。一人の死で学校を潰すのは容易ではない。だが、多くの死が積もれば、流石に学校も隠しきることは出来ない。このまま学校の評判を地に落とす。そう思っていたが、そう上手くはいかなかった。たった数ヶ月で作った人望では多くの人を死に導くのは難しかった。1ヶ月もしないうちに自殺の事件はおさまった。たった数人の死では足りないと思ったのか、あるいはもっと自分の死で死を生み出したかったのか今となっては私自身でも分からないが、より死者を出すために私は強攻策に出ることにした。

 清水颯太が死んでからすぐに’ある人間’が死ななかった時点で私は強攻策を使えるようにある自殺した生徒の死体をストックしておいた。私はその生徒になりきり、遅くまで生徒会室に残っている佐々木玲奈を訪ねた。私がストックしておいた死体は彼女の友人の死体だ。だが、あまりにも彼女に知られていると口調から本人じゃないとバレる可能性があったので、そこそこの仲のよさの人間を選んだ。学校で彼女の人間関係をある程度観察していたのがここで生きてきた。


私は生徒会室で彼女と幾許か問答を交わし、帰った。


 翌日部下から電話が掛かってきた。

「要件を私が当ててみよう。死んだんだろ?佐々木玲奈が」私は部下が話す前に言った。すると、部下は驚いたような声で

「その通りです。ボス。」とだけ言った。

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