第4話

 ある程度の人数からの人望を手に入れ、生徒会長からも好かれることに成功した私は今度は逆に先生に嫌われるようなことをした。普段からあえて嫌われるようなことなんてしないし、学校の先生がどういう人なのかも知らなかったためどうやったら先生に嫌われるかなんて私にも分からなかった。だが、ちょうど加藤伸行という先生からの嫌われ者がそばにいたため簡単だった。私は彼の行動の中で先生には嫌われるが生徒達に嫌われないような行動を取った。

「先生、この問題なんでバツなんですか?」私は先生に小テストの件で講義した。

「そんな解き方まだ教えていないだろう。習った解き方以外で解くのはダメだ。」

「はぁ?意味が分からないです。なんでそれが理由になるんですか?もしかして先生も分からないんですか?」

「何言ってるんだ?そんなわけないだろ。」

「じゃあなんでダメなんですか?もっとちゃんとした理由を教えて下さい。」

「とにかくダメなものはダメだ。これ以上言うとお前の内申に響くぞ。」

「あぁ、そうですか。分かりました。」私は悔しそうな顔で自分の席に戻った。

こんな会話を繰り返し、先生の理不尽さを露見させていった。加藤の場合は友達が少なかった故に誰も同情などしなかっただろうが、私の場合は違う。この様子を見て少しずつ先生に対して生徒達は悪い印象を抱いていった。

 先生に対して反抗的な態度を取ることをはじめてしばらくすると話しかけてくる人の数が増えた。おそらく先生の理不尽さに鬱憤がたまっていたのは加藤だけではなかったのだ。最初のうちは先生の目に自然と良い生徒のようにうつっていたので、私は先生に好かれている生徒という認識をされていたのだろう。だが、おそらく最近の私の先生に刃向かう様子を見て、案外そうでもないと思ったのだ。予想外の形で人望が手に入れられた。

(そろそろ終わりにするか。)

 私は学校の屋上から飛び降りて死んだ。一枚の書き置きを残して。書き置きには

「私は学校に殺されました。」

と書いておいた。

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