第6話

 神谷恵が想像以上に危険人物だと知った私は急いで計画を練り直すことにした。もう頼らなくていいと思っていた人間に再び頼る羽目になったのは少し面倒だが、この際そんなことはいっていられなかった。彼女が何かするまえにこちらも手を打たなければと急いで神谷恵の友人に連絡し情報を仰いだ。彼女の住む場所を特定した私は部下に連絡し、張り込むように指示した。だが、1ヶ月ほど経過して部下が違和感を覚えて連絡をしてきた。「ボス、本当に例の場所に神谷恵が住んでいるのでしょうか?見張りのやつが1ヶ月間ここを出入りする彼女を見てないですし、誰かがボスの言っていた部屋番に入っていく様子もなかったようなのですが。」

私は動揺した。急いで部下に隣人や家主に尋ねろと伝えた。家主の話によると確かに神谷恵という女が家を借りているらしいが、隣人は生活音が全くと言って良いほど聞こえていないし、そとから見て電気がついている時がなかったからから引っ越したと思っていたと言っていた。切羽詰まった私は情報屋に神谷の居場所を尋ねた。依頼してから2週間ほど経つと情報屋から連絡があった。彼の情報によると神谷恵が彼女の家から5kmほど離れた廃倉庫を出入りしている様子が目撃されたらしい。その情報を信じて私はすぐにその倉庫に向かった。すると、そこには服は破れており、爪は剥がされ、全身に傷あとがある男がはりつけにされていた。薄暗くてよく見えなかったが、その男が神谷恵の愛人であり、私を殺した元容疑者の中山純太であることはすぐに分かった。その様子を見て私が助けようと中山純太の元に駆け寄ろうとすると、別の入り口からある女性が入ってきた。

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