*Ⅱ*
クヮヰドは旧例に従って、一人でヰ・クヮヰドの石室を訪ねた。十八年ぶりであった。
クヮヰドの姿を認めるや否や、入口に立つ八人の
なおも、歩を進めようとするが、いよいよ切尖が突きつけられ、石室の前でしばらく
ここに到って、クヮヰドは
この一連の「手続き」は、儀式化された、故事の再現である。
その
そして、彼等の合議を以て、夷族における難事が決せられていたという。
難事に係らぬ俗事は全て有力な長老たちが議ることとなっていた。
九柱は長い
長老たちとて、
ただに、
巫女は、毎夕、渠魁たちに捧げるべき
長老の言を
通常は、渠魁からの返答は何もなかった。それが、渠魁たちの了承を意味していた。極々稀に
さて、その
初代クヮヰドが
翌朝、
かくして、
ヰ・クヮヰドの選定は、旧クヮヰドの
タッパイ・シュウの
神官達も、クヮヰドも――
嬰児は一人の
石室は
クヮヰドにとってすら、石室に近付くことは禁忌であり、その禁忌が解けるのは、在位中、唯に二度――嬰児の到来を祝福する時と禅譲の前月
しかしながら、真実の所、ヰ・クヮヰドは、攫われ
真実に於いて、石室は一歩たりとも表に出ることの叶わぬ獄舎であり、乳母や衛士とて、親しい臣下ではない。乳母の真実は、
この大いなる矛盾に
憐憫垂下の儀を執り行うために。そうして、己の位と生命とを自ら
<続>
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