第7話

 僕は決意もあらたに、謎のメッセージの解読に挑んだ。


『三ツ山のJを守っている。左向け左!』


「うーん。とりあえず三ツ山ってなんだ? Jって?」


 僕はじいじの家のウロウロしながら考える。


 ここには山もないし、山の写真や絵もかざってない。

 Jって、誰のイニシャルでもないし。

 唯一何かつかめそうなのは、『左向け左!』の部分だけかな。

 ハートの女王のヒントに、少し似ているな、って思う。


「もしかして、これもトランプ?」


 前の暗号で『ふたこぶ』がハートだったから、『三ツ山』はクラブかもしれない。

 もしそうなら『J』も分かる。ジャックだ!

 僕は飛びあがった。


「じいじ、トランプかして!」

「おお、いいぞー」


 じいじの趣味部屋に入って、手品用のトランプのケースを開け、急いでクラブのジャックを探す。


 あった。やっぱりそうだ。

 クラブのジャックは右を向いている。『左向け左!』も当てはまる。

 この二つ目の暗号は、クラブのジャックを意味してるってことだ!


「でも、これが何なんだ?」


 アリスの絵にはクラブのジャックは描いてなかったし、他にトランプに関連のある場所なんかない。トランプがしまってあったのは、ほんの小さい引きだしで、ゲームなんか入らないし。


「うう……またカベにぶつかった」


 僕は頭をかかえた。

 ゲームのボスの倒し方を考えるのは得意だけど、トンチとか謎解きとか、苦手なんだよ。

 

 ナマケン助けて~! 


 そのときだ。

 

 窓の向こう側を、ペタッとしたマッシュルームカットの頭が横切った。

 ナマケンだ。そういえばナマケンの家はこっちの方だった!


「ナマケン!」


 僕は急いで玄関を飛び出した。廊下から大回りしたけど、助かった。のんびり屋のナマケンは、ぜんぜん進んでいなかった。スローモーションで振り向いて、


「あー、ぶっちん。ここがおじい」

「ねえナマケン、助けて!」


 僕はナマケンの言葉を待たずに、必殺技の『一生のお願い』を使った。

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