【巻二八 王凌】自造者也

「捏造じゃね?」



漢晉春秋曰:淩、愚謀,以帝幼制於彊臣,不堪為主,楚王彪長而才,欲迎立之,以興曹氏。淩使人告廣,廣曰:「凡舉大事,應本人情。今曹爽以驕奢失民,何平叔虛而不治,丁、畢、桓、鄧雖並有宿望,皆專競于世。加變易朝典,政令數改,所存雖高而事不下接,民習于舊,眾莫之從。故雖勢傾四海,聲震天下,同日斬戮,名士減半,而百姓安之,莫或之哀,失民故也。今懿情雖難量,事未有逆,而擢用賢能,廣樹勝己,修先朝之政令,副眾心之所求。爽之所以為惡者,彼莫不必改,夙夜匪解,以恤民為先。父子兄弟,並握兵要,未易亡也。」淩不從。



臣松之以為

如此言之類,皆前史所不載,而猶出習氏。且制言法體不似於昔,


(漢籍電子文献資料庫三國志 758頁 ちくま4-228 批判)



○解説

 のちに司馬師しばしによって帝位を廃される曹芳そうほうですが、司馬懿しばい存命中にも廃立謀議が持ち上がっていました。このときの首謀者がこのひと、王凌おうりょう。大雑把に言えば廃立の主導権を王凌が握ることにより司馬懿を抑え込もう、と目論んだのですね。この計画は失敗、王凌は自殺、謀議に関わった者たちは皆殺しとされます。

 この謀議に関して習鑿歯しゅうさくし漢晋春秋かんしんしゅんじゅう」では、王凌がこのときの謀議を息子の王広おうこうと交わした、としています。すると王広が諫めてきたそうです。いわく、いま曹芳を支えている曹爽そうそう何晏かあん丁謐ていひつ畢軌ひつき桓範はんはん鄧颺とうようはそれぞれ張り合うことしか考えないで政令をころころと変え、世情を混乱させている。もはや民からも見放されている。一方で司馬懿司馬師親子は賢人を広く集め、民の声も吸い上げ、盤石の体制を築いている。親子ともに軍権も掌握しているため、容易く滅ぼすことは叶わない、と。しかし王凌は聞き入れず計画を動かし、そして失敗した、と。

 え? 裴松之はいしょうし先生、固まります。

 漢晋春秋以前の史書のどこにもこんな言葉載っかってないんだけど? それにこう言うのってもうちょっと法令文書と類似した文体になってくるはずが、その辺とも似通ってないよね? 

 この辺のやり口が孫盛そんせいだったら「そもそも諫言のたぐいとは……」から殴りかかってくるでしょうにねえ。



○皆様のコメント


・波間丿乀斎

 いいじゃん諫言という形で当時の情勢解説ぐらいやらしておやんなさいよ……。

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