【巻二六 満寵】酷吏之用心

けめこ 様より頂きました。


「いや拷問したかっただけっしょ?」



故太尉楊彪收付縣獄,尚書令荀彧、少府孔融等並屬寵:「但當受辭,勿加考掠。」寵一無所報,考訊如法。數日,求見太祖,言之曰:「楊彪考訊無他辭語。當殺者宜先彰其罪;此人有名海內,若罪不明,必大失民望,竊為明公惜之。」太祖即日赦出彪。初,彧、融聞考掠彪,皆怒,及因此得了,更善寵。



臣松之以為

楊公積德之門,身為名臣,縱有愆負,猶宜保祐,況淫刑所濫,而可加其楚掠乎?若理應考訊,荀、孔二賢豈其妄有相請屬哉?。雖有後善,何解前虐?


(漢籍電子文献資料庫三國志 721頁 ちくま4-156 罵詈雑言)



○解説

 鶏肋で有名な楊修ようしゅうの父、楊彪ようひょう。彼は朝廷に対して忠節を大いに示したため、袁紹えんしょう曹操そうそうからだいぶ煙たがられていたのだそうです。さて荀彧じゅんいくが尚書令であった建安けんあん年間、楊彪に何らかの罪があり、処刑されることに。この当時処刑者は監獄でも拷問による取り調べが厳しく行われます。三公にまで至り、皇帝を大いに支えた大功臣に対しそれはどーよと荀彧や孔融こうゆうが「どうか楊彪様に拷問をお加えにはなりませぬように」と頼んだのですが、満寵まんちょうはシカトして拷問。そして曹操に「楊彪は拷問を加えても証言を変えませんでした。ともなれば実際に罪を犯したわけではないのでしょう。このように名声高きものの罪が明らかでないまま処刑されるとなると、公の名が損なわれてしまいます。それは避けるべきでございましょう」と進言。そこで曹操も楊彪を釈放しました。荀彧や孔融は楊彪に拷問が加えられたことに怒ったそうですが、これによって無罪となったことから、むしろ満寵を讃えるようになったのだそうです。

 荀彧サマが絡むと一気に沸点が低下。裴松之はいしょうし先生です。

 いや待て待て、孔融はともかく、荀彧サマ、荀彧サマが止めに入るようなお方よ? 実際に漢の名臣として名望を背負われて来られたようなお方に対して、みだりに拷問するとかどうなの? 満寵にしたってこれで能吏と呼ばれたってあるけど、? 確かに結果として楊彪は無罪になった、それはすごい。けど拷問したいって思ったその嗜虐心は帳消しにならんでしょ!

 


○皆様のコメント


・けめこ様

 賈詡さんへのボロクソ度合いと比べると穏やかなコメントですねw


・波間丿乀斎

 いや、それさすがに満寵さんの心性勝手に決めつけすぎじゃね?

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