【巻一八 龐悳】虛說也

「王隠トバし記事書きすぎてねえか!」



王隱蜀記曰:鍾會平蜀,前後鼓吹,迎悳屍喪還葬鄴,冢中身首如生。


臣松之案

悳死於樊城,文帝即位,又遣使至悳墓所,則其屍喪不應在蜀。


(漢籍電子文献資料庫三國志 547頁 ちくま3-268 罵詈雑言)



○解説

 荊州けいしゅう樊城はんじょうを守る関羽かんうに挑んだ于禁うきん龐悳ほうとく。片や投降し、片や潔されました。この辺りの振る舞いの差が裴松之はいしょうし先生にとって気になるところであったのかもしれません。ともあれ殺された龐悳については曹操そうそうもその死を惜しみ、曹丕そうひも墓前にて荘侯と諡する旨を伝えさせています。

 王隠おういん蜀記しょくき」は、そんな龐悳の死体がしょくに安置されていた、と語ります。それで鐘会しょうかいが蜀平定の際に奪還したんだけど、その様子はまるで生きているかのようだった、と。

 ファ!? 裴松之先生、がるるします。いやいや樊城で殺されて、そんで曹丕だって墓参りしてんじゃん、どこに蜀に死体もってかれる謂れあるってんだおい! ! とお怒りなのです。



○皆様のコメント

・帳慢様

これは関羽伝注:王隠『蜀記』の「龐会が関羽の子孫を殲滅した」という記事と合わせて読むことによって、裴松之の「虚説」発言がさらに味わい深くなりますね。

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