【巻一〇  評】失區別之宜

「攸サマと賈詡同列にするとか、

 頭おかしいんか?」



荀攸、賈詡,庶乎算無遺策,經達權變,其良、平之亞歟!


臣松之以為

列傳之體,以事類相從。張子房青雲之士,誠非陳平之倫。然漢之謀臣,良、平而已。若不共列,則餘無所附,故前史合之,蓋其宜也。魏氏如詡之儔,其比幸多,詡不編程、郭之篇,而與二荀並列;失其類矣。且攸、詡之為人,其猶夜光之與蒸燭乎!其照雖均,質則異焉。


(漢籍電子文献資料庫三國志 332頁 ちくま2-295 罵詈雑言)



○解説

 陳寿ちんじゅが(荀彧じゅんいくと)荀攸じゅんゆう賈詡かくを同じ巻に収めたのは、二人の献策が当を得ており、そりゃもう劉邦りゅうほうの覇業を大いに補佐した張良ちょうりょう陳平ちんぺいクラスの功績だったからだ、と大絶賛。

 彧サマラヴの裴松之はいしょうし先生、到底容認できません。

 張良と陳平なんてイケメンとクソ野郎だしぜんぜん一緒に並べ立てるべきじゃねえ。だのに漢書かんじょで同巻に収めてるのは、結局謀臣が他に見当たらなかったからの仮措置でしかねえ。そこに行けばどうよ、曹操そうそうの下にゃ謀臣が山ほどだ! なら賈詡は程昱ていいく郭嘉かくと一緒に並べるべきだろうよ! どこに魏が誇るダブルJと一緒に収める謂れがある! だいいち攸サマと賈詡じゃその人品に宝玉の輝きとオケラの光くらい差があるじゃねえか! なんでそんなん同列に扱ってんだ! あーあー陳寿のやろう、? と、いまなら炎上必至のお言葉を平然と千古の書に綴っておられます。



○皆様のコメント

・波間丿乀斎

 劉穆之りゅうぼくしを紹介したので、もう一人の劉裕りゅうゆう陣営の軍師を紹介します。謝晦しゃかい。彼は劉裕による洛陽らくよう長安ちょうあん奪回作戦の作戦立案を任され、成功こそしましたが、一年と経たず再失陥の憂き目に遭っています。しかも劉裕死後には劉義隆りゅうぎりゅうより不敬大逆(劉義隆の兄ふたりを殺した)の罪により糾弾を受け決起、敗死しました。つまり後世的にはなにひとつ弁護の余地がない人物。

 どうも賈詡に対する批判の様子を見ていると、謝晦に対する悪意ものっているような気がしてなりません。この辺は法正ほうせいに対しても似たようなことが言えそう。

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