【巻一〇  評】其殆誣歟

「彧サマ不当sage反対!

 ウソやめろ陳寿!」



評曰:荀彧清秀通雅,有王佐之風,然機鑒先識,未能充其志也。


世之論者,多譏彧協規魏氏,以傾漢祚;君臣易位,實彧之由。雖晚節立異,無救運移;功既違義,識亦疚焉。陳氏此評,蓋亦同乎世識。臣松之以為斯言之作,誠未得其遠大者也。彧豈不知魏武之志氣,非衰漢之貞臣哉?良以于時王道既微,橫流已極,雄豪虎視,人懷異心,不有撥亂之資,仗順之略,則漢室之亡忽諸,黔首之類殄矣。夫欲翼讚時英,一匡屯運,非斯人之與而誰與哉?是故經綸急病,若救身首,用能動于嶮中,至于大亨,蒼生蒙舟航之接,劉宗延二紀之祚,豈非荀生之本圖,仁恕之遠致乎?及至霸業既隆,翦漢迹著,然後亡身殉節,以申素情,全大正於當年,布誠心於百代,可謂任重道遠,志行義立。謂之未充,其殆誣歟!


(漢籍電子文献資料庫三國志 332頁 ちくま2-294 罵詈雑言)



○解説

 陳寿ちんじゅは「荀彧じゅんいくは偉大だがかん存続という志を果たすことができなかった」と、その評にて記しています。

 もちろん裴松之はいしょうし先生がそこを見逃すはずがありません。

 志について勘違いするやつが多いみたいだけどなぁ、荀彧サマの志は漢の存続にゃねえ! 魏武ぎぶの下で新たな天下を立てるところにあったの! 考えてみろ、彧サマ、彧サマだぜ? 魏武が人臣に収まるままのつもりでないことなんか見抜けねーはずがねえだろ? あの当時、もはや漢はズタボロ! じゃあどう天下を立て直すかなんて言われりゃ、そりゃ魏武の指揮の元でしかなかったろうに! それでもなお漢を長らく生き延びさせたところに、魏武の忠心が見えてくるんじゃねえか! 荀彧様は魏武とともにその思いを背負いお進みになった! そんな方を捕まえて「志が果たせなかった」だぁ? sage! 寿! とお怒りです。

 裴ちゃんステイ。



○皆様のコメント

・波間丿乀斎

 わりと全力で解説が劉穆之りゅうぼくしに当てはまって草なんだ(東晋とうしんも滅亡の瀬戸際にあって劉裕りゅうゆうが宰相として15年ほど牽引し、それを劉穆之がサポートした)。

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