第95話 妖精女王の気配
俺の視界に
コイツラなんて既に害虫程度でしか無いのだが、だけれどもその重量はホンモノ。フェノゼリーさんや仔ジカの居るリビングを踏みつけられたら困るんだよね。だから俺は少しばかり焦っている。
「な、なななななななななななななななななななななななななななななななななな」
フェノゼリーさんは固まっちゃってる。どいた方が良いって言ってるのにな。
「
「あいあいさーだわさっ」
「
俺の愛用のシャベルから光が放たれる。
ちみっちゃい子が飛び回るので俺も後を付いて回る。
「エイっなのよ」
「うりゃっだわさ」
掛け声とともに魔法石を
あっと言う間に4体の動かない金属の塊の出来上がり。この金属も回収するつもりなのだけど、ちょっと待った。
逃げようと右往左往している
こんなんでも2メートルはある岩の塊だ。仔ジカちゃんにとっては大迷惑だろう。
潰せる時にまとめて潰しといた方が良い。
俺は
半壊になった
「ちょっとー、魔法石が見えないとあたしだって取り出せないなのよー」
ちみっちゃい子が文句を付ける。
もう、メンドくさいなー。数体積み上げた
これで全部ツブしたかな。
おっと、まだ一体残ってたみたいだ。
ウロウロと逃げ回る
俺が逃げる
長い毛で覆われた人影。
「何事ですか、コレは!」
「やはり、強い。
体は固く重く、こちらの攻撃を受け付けない。
また、その重さの乗ったパンチを受ければ、通常の人間など一撃で倒れる」
と言いつつ、受け止めちゃってるじゃないの。
フェノゼリーさんの腕からは筋肉が音を立てて盛り上がる。布の服でも着ていたならハジケとびそうなフンイキ。
「現在、私が互角以上に戦えているのはこの地下空間に
フェノゼリーさんが力強い宣言を放つ。同時に
そのまま岩壁に叩きつけられる
ついに
「それでもっ。
いくら
だと言うのにっ。
貴方は人間の分際で一体どうなっているんですかーーーーっ!!!」
「サンキュー、これは
俺は重さでフラフラしてるちみっちゃい子から魔法石を受け取ってしまう。
「私の話を聞いてるんですかーーーーっ!!!!!」
え? 俺?
フェノゼリーさん、顔が髪の毛に隠れているので、どっちを向いているのか分かりづらいな。
どうも俺に話しかけているっぽい。
「えーと、
実はシャベルは土木作業用がメインではあるんですが、正式に軍にも採用されていた兵器なんですよ。
俺が戦えてるのはこの
「………………違う。違います。
そういう話をしてるのではありません。
……………………もう、いいです。
話すだけ無駄な気がしてきました」
頭を横に振っているフェノゼリーさん。
髪の毛が乱れて、顔が見えてる。やっぱり美人さんだな。眉を寄せて悩んでるような顔が似合う。憂いの美女。
「ぐるぐるるるるるるるるるる、ぐるぐる」
俺の視線に気づいたのか、顔を又毛の中に隠して唸りだしてしまったフェノゼリーさんなのだった。
それはそれとして。
害虫退治して、気分良く仕事を続ける俺。
フェノゼリーさんは帰ってしまったのだが、ちみっちゃい子とちみっちゃいメイドさんが応援してくれる。
「がんばれーなのよ」
「ご主人様、頑張ってください。
終わったら、お茶とクッキーが待ってます」
クッキー!
やっほー-い、久々の甘いもの。
しかも! 女性の手作り! 母親じゃない女の人が作ってくれたクッキー、であってしかも俺の為に作ってくれた、とゆーお宝。記念すべきシロモノかもしれない。
岩を掘り進める作業もメッチャ力が入る。
今や、俺はリビングのある地下空間から相当な地下まで進んでいる。先日アスレイさんに手伝ってもらった事でかなーり効率よく進んだ。
シャベルが手に入った事、俺の肉体も成長した事、
しかし、イキナリ地面が硬くなる。
「
「
ブラウニーさんがメイド服で驚きの声を上げる。パックがそれに応える。
俺も少し感じていた。ポケットに入れている、妖精のマントが温かくなってる気がする。
「そこの地面、すごくイヤな雰囲気なのよね」
「多分、ほとんど鉄で出来ているんです。
鉄は妖精は通れない。
妖精の気配だって本来通さないはずなのに…………」
「なのに、こんなに
「「もう、
って事ですわ」
って事なのよ」
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