第42話 突き出すモノ
数日が過ぎていた。
昼間は監視どもに睨まれながらセタント・クラインとヒンデル老人と労働をする。夜は
昼間の作業が終わってから、夕食前に魔法技士ルピナス・エインステインの所にも顔を出している。
こうしてみると俺も知り合いが増えたな。
セタントやヒンデルはもうトモダチと呼んでいいよな。まだ早いか。うーん。どっからがタダの知り合いでどっからが友人かな。
二人とは長時間作業を共にしているが、監視の目をくぐりながらなのだ。そこまでじっくり話が出来ている訳でも無い。
監視どもが巡回してる前でくっちゃべってたりしたら、蹴り飛ばされるのである。大した理由も無く、見せしめのため、あるいは監視の機嫌が悪かっただけでぶん殴られる事すら在り得る。
それに比べると夜の作業は気楽だ。
この下層の坑道には五月蝿い監視なんかいない。
飛び回るちみっちゃい少女が応援してくれて、好きなように好きなだけ働いて良いのだ。
労働サイコー! 労働尊い!
害虫駆除をする度に魔法石を手に入れているのである。ついでに金属塊も妖精のマントに仕舞っている。すでに量はトンデモナイ事になっているハズである。メンドくさいので妖精のマントから取り出して数えたりはしてない。
金属塊の方はルピナスに渡して、シャベルを作ってもらう足しにして貰おうか思案中である。
「ホラ、これでどうなんだぜ!」
荒っぽい口調のレプラコーンちゃん。職人風にバンダナを頭に巻いてるな。
だけれどもオーバーオールから見えている背中、柔らかそうな肉体は女っぽい。頑丈そうなオーバーオールの前掛けを押し上げる胸元はおっきい。
いやだから、トモダチなんだからして、あんまそーゆー部分を注目しちゃイカンのだ。分かってはいるのだけど、視線が言ってしまうのが男の本能と言うモノ。
ん-、やっぱりレプラコーンちゃんのお胸の膨らみは
そして背中に見える素肌から察するに、レプラコーンちゃんてば下着を着けていらっしゃらない。
これはマズイのでは。大きいお胸でブラをしていないと垂れてしまうと聞く。
凄まじく余計な心配をしてしまう俺なのである。
「おい、
ホントにこいつ大丈夫かなんだぜ。
今イズモのヤツあたいの身体を旨そうな物を見るような舐め回す視線で見てニタリと笑ったんだぜ。
俺食われるのはゴメンなんだぜ?」
「レプラコーンちゃん、ダイジョーブだってばなのよ。
「むー、ホントウに大丈夫なんだぜ?」
怪しげなモノを見るように俺の顔を眺めるレプラコーンちゃんなのである。
こちらとしても思い当たる事が有るだけに気まずいな。ここは出来るだけサワヤカかつ紳士そうに笑ってみよう。
ニッコリ!
「ホラー、やっぱりニタリと笑ってるんだぜー?!」
レプラコーンちゃんは
「気にしなくて良いなのよ」
ちみっちゃい少女が俺をフォローしてくれる。
「
俺は靴を履いてみる。立派な革靴である。靴底は固い素材で出来ているが、靴の中は柔らかくクッション性もある。多少大きめだが紐を通すようになっていて、縛ってしまえば足にピッタリと馴染む。
「おおーっ、ピッタリだ。
スゴク良いじゃないか」
「へへへっ そうなんだぜ。
妖精たちの靴を作る時はヤギ革使うコトが多いんだぜ。
だけどイズモの注文が頑丈な靴だったからイノシシ革使ってみたんだぜ」
「そーゆーモンか。
良くこんな短い期間で俺にピッタリの靴が作れたな」
身長20センチ程のレプラコーンちゃんから見れば俺はバカでっかい。
人間にしてみると、人間の身長より大きい靴を作れと言われたようなモノ。そんな簡単な注文とは思われ無い。
「なーに大したコト無いんだぜ。
あたいは
靴造りのプロなんだぜ」
隠れていたレプラコーンちゃんも靴の話になると、
ドヤ顔で胸を張っている。
ですから!
胸を張って、突き出されるとですね。
その膨らみが強調されてしまってですね。
オーバーオールの前掛けの横からムニっとはみ出てるモノなんかも気になってしまってですね。
モノ……って何かって言うと……つまり……いわゆる横チチ!
イカンッてば。
トモダチなのだ。
友人なのだ。
フレンドなのだ。
エロい目で見ちゃイカンのだってば。
だから……俺も努力するので。
レプラコーンちゃんもお胸を突き出すのだけはヤメてください……
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