第二章 奇妙な共同生活 <第二話>

 そして、その店で一ヶ月程前から、よく顔を合わす一人の女性がいた。その女性というのがシュウで、歳の頃だと二十代後半から三十代ぐらい、痩せた小柄な体にボーイッシュなショートヘア、第一印象はというと、無表情で目つきが鋭く、動物学上オスともメスともつかない両性具有的な雰囲気を漂わせていて、何かこう言葉では何とも言い表せない不思議な魅力を全身に纏った少年のような顔付きの女性であった。

 

 それが、どうしてひとつ屋根の下で一緒に暮らす事になったのかと言うと、その店で起こった信じられないような飛んでもない出来事が、きっかけとなったからである。

 そのガラクタみたいないくつもの品物が、不安定にも床から天井高く山積みにされた店内の狭い通路をお互いに通りづらそうに、体を交わし合いながら、すれ違ったその時である。足元に無造作に置かれていたであろう、如何にもインチキ臭そうな陶磁器製の壺が、何かの拍子にバランスを崩して、運悪く倒れてしまったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る