第二章 奇妙な共同生活 <第一話>

 シュウとは、六月のある静かな雨の降る日に、この町の商店街のはずれにある骨董品屋で初めて出会った。まだ、最近開店したばかりの店みたいなのだが、店内は薄暗く小汚くて、埃っぽくてカビ臭い。きっと、テレビの鑑定番組なんかに出したりすると、決まってニセモノであるとしか鑑定されない様などこかで拾ってきたガラクタばかりを、思わず笑ってしまいそうな高い値段を付けて、何食わぬ顔で平気で売っている胡散臭い店なのである。

 ボクは、休日になると、時間があればその店によく通っていた。別に、骨董品収集の趣味がある訳でもなく、何かに目を奪われているからだとか、惹かれる物があって欲しいからでもなく、ただ漠然とその胡散臭い店の佇まいに、妙に興味をそそられて、何となく気になって仕方がないと言ったそんな感じだ。

 それにしても、所狭しと店の商品らしき物は、どれを手に取って見ても怪しげな物ばかりで、例えばただの石にしか見えない物も、【銀河系の彼方から堕ちて来たジャコビニ流星群の隕石の欠片】といった、店の主人のどこかアカデミックでコミカルでラジカルなキャッチコピーに惹かれては、それらをただ時間を忘れて眺めて見ていたいというだけで、その店へと足を何度となく、運ばせていたのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る