風の章

1.始まりの風

「ヒューヒュー。ピューピュー。ビュービュービュー。風が音を奏でだす。

ガサガサ。ザーザー。ヒューヒュルル。つられて草木も歌い出す。

風の音に心預ければ、すべて忘れてまっさらに。

そんな音色の暖かさ。ながいながい始まりの旅路。世界がひろがる始まりの風。」


2.飛んでっちゃいそう

「ふわぁ〜・・・風がきもちぃ〜。丘の上で風に吹かれてるだけなのに、疲れが全部、風といっしょに飛んでいっちゃいそう。 ふわわぁ〜って!君もこっちに出てきなよ〜!とっても気持ちいいよぉ〜。ほんと、気持ち良すぎて私も一緒に飛んでいっちゃいそうだよ〜。ふわわわぁ〜って!」


3.18度の風

「ひんやり風が頬を撫でる。草木が揺れて音を奏でる。肌に18の気配感じたら、そのままゆらりと歩んでく。流れるままに歩んでく。静かな世界を歩んでく。」


4.タンポポとわたげ

「タンポポはね、大きくなったら旅に出るんだよ。わたげになって風に乗って、新しい出会いを求めてね。でも、時々うまく飛べない子もいるんだ。みんなとの別れは寂しいからね。だからあんたはそんな子たちを見つけたら背中をおしてあげるんだよ。きっと大丈夫だから、新しい出会いがあるからって励ましてあげるんだ。そうやっていれば、いつか自分の番が来たときに、あんたも背中を押してもらえるよ。」


5.夏の音

「チリン、チリン。風にふかれた夏の音が響く。蒸し暑い夏のはずなのに、どこか涼しさを感じる音色。ミーン、ミーン。元気に騒ぐ夏の音が響く。あぁ、やっぱり暑いかも。でも夏を楽しむのには欠かせない音色。ザワァア、ザワァア。風と歌う夏の音が響く。よく見ると、木々も花も歌っているよう。ヒュー、ヒュー。風が響く夏の音を包み込む。これは、私の夏の歌。」


6.秋風

「ヒュールルル。肌を突き刺す冷たい風が、耳の横を走り抜ける。

リンリンリン。風とともに鳴り響いた、虫の音の合唱を感じる。

秋のお知らせがやってきた。冷たくひんやり寂しいのに、なぜか心地よいお知らせが・・・。」


7.もう冬

「・・・ふぇっくしゅん!!う”ぁ”あ”あ”あ”〜〜なんでこんな寒い???風冷たすぎて、そろそろ風邪ひくけど????マジでむりだってぇ〜・・・。あ”〜まだ秋だから、ギリ半袖でもいけるやろって思った朝の自分殴りたい・・・だってもう冬じゃん!この寒さは冬でしょ!?」


8.広げた日記

「手のひらに広げた思い出。嬉しいも悲しいも私の秘密も、全部詰まったこれは、もう随分色褪せてきてしまったみたいで。・・・風がはらりとページをめくる。まだ真っ白なここは、これからの未来だったはずの場所。

『でも私、もう色褪せちゃったみたい。あなたと一緒ね』

そうして、それをパタリと閉じた時が私の最後。」

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