5月31日

今日は朝から雨だった。

昼頃には小雨に変わっていたが、止む頃には日が暮れてきているだろう。別にそれが嫌という訳では無い。むしろ自己中心的に考えれば嬉しい。何分暑いのとジメジメしているのが苦手なもので、夏に移り変わるこの時期は苦手なのだ。一方で冬は好きだ。風邪をひく事もあるが、暖房無しで過ごせないことは無い。まぁとにかく私は暑さへの精神的耐性がとても低い。私が住んでいる所は夏はジメジメとした気候になりやすく、カラリと乾いた暑さは9月や10月に入ってからだ。もはや秋である。


ところで昨日の日記をサラリと忘れていたので、昨日考えた事を今日も思い出してみた。


昨日昼頃買い物へ出かけると、冷たい東側からの風が吹いていた。真夏に西から冷たい風が吹けば数時間もしないうちに夕立が来る。だが春頃の東からの冷たい風はどういう気候に変わるのか。そんなことを考えていた。だがまぁ冷たい風とは言うが、昨日の風は爽やかで心地がいい方だった。涼しいのが好きだからと言えばそれで終わりかもしれないがまぁ聞いて欲しい。

真夏の西風(冷)は妙に気持ち悪いのだ。

太陽の日差しは雲の縫い目からさんさんと降り注ぎ、大気自体もムシムシと蒸し暑い。それなのに西の方から湿った冷たい風が吹いて来る。あまりのいやらしさに西を見ると真っ黒い雲が山脈をおおっていて、まもなくこちらにも雷を伴った大雨が来るぞと自己主張をしているのだ。傘を持たずに出掛けてしまった時にこの風に出くわすと、やらかした気分になる。

一方で昨日の風はどうだろう。ここの所春とは思えない程の真夏日が続いたり、どちらかと言えば暑い気候だった。一昨日も31℃を記録していたし、もはや気分は夏だった。太陽の日差しも撫でつける風も夏と錯覚するほど暑かった。真夏との違いと言えばジメジメと多湿ではなかった事だろうか。ジメジメしていない分私は生きながらえた。そして昨日の風だ。昨日も日差しは暑かった。夏至という季節の節目が近づいてきたなと予感させる太陽の角度を感じながら出掛けたのだが、妙に涼しかったのだ。大気は真夏ほどではないにしろ程よく生ぬるい。大気が太陽で温まるよりも先に冷たい風で冷やされたのだろうか。私は真夏の夕立の予感を一瞬考え、風の様子を少し観察…いや、体感してみた。風はどうも東もしくは北側からの物で、エアコンの冷風を思わせるような乾いた冷たさ。雨の匂いも無いし、雲の気配を感じさせない空。真夏のように数時間で大雨とはならなそうなことに安堵した。だが少し不思議に思った。太陽は昨日と変わらない日差しなのに明らかに体感温度が違う。その乾いた冷たい風のせいで巨大なエアコンの着いた世界を自転車で走っているような妙な心地だった。だがしばらくその違和感にムンムンとしていてふと気付いた。5月頃行われていた運動会。雨上がりの時やギリギリ天気が持ち堪えて行われた日もあった。そんな日はこんな冷たい風が吹いていたなと、思い出したのである。そう考えるとこの妙な涼しさにも若干の懐かしみや親しみが生まれるもので、嫌な気は全く無くなった。だが明日辺りから雨が降り始めるだろうとは予感した。予感はしたが、自分の予想と実際の天気予報が合っているか気になり、久々に夕方のテレビをつけた。そうしたらニュース番組とセットの天気予報で明日から雨だと放送された。私の体感予報は夕刻のニュース番組より早いなと、少しだけ胸を張る思いだった。


という事もあり今日は雨。予感していたし、天気予報でもやっていたので今日の予定が狂うことは無かった。真夏や台風が過ぎたあとの雨と違い、酷いジメジメ感は無い。寒いからだろう。かなり過ごしやすかった。母は寒いと上着を羽織っていたが。


洪水などの天災や農作物への被害、例年通りの春夏秋冬が来ないと困る人々への配慮を考えなければ、ずっと今日のような日和でもいい。たまに日光を浴びなければ気が病むかもしれないが、暑いよりはずっといい。

毎年夏が近づく度に思う。

「夏だけ切り取ってしまいたい」と。

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