第19話 放課後、男、女

「せつちゃんまたね〜〜!」

「2人ともお似合いだぞ〜〜!」

「帰る途中でラブホ寄んなよ!」


「誰がそんなことするか!」


 クラスメイトは何やら勘違いしているようで、一緒にいる俺と片柳を揶揄ってくる。あと最後のやつ、絶対明日絞めるからな!


 片柳と途中まで一緒に帰り、別れ道にきた。


「じゃあな片柳。また明日」


 反対側に足を向けようとした時、ぐいっと片柳の方へ腕を引っ張れた。


「なに帰ろうとしてるの! 朝のこと忘れたの?」

「朝のこと?」

「そう、朝! 朝うちでテスト勉強するって話したでしょ!」

「あー……」

 

『テスト勉強。うちで2人っきりでしようよ』


 そういえば言ってたな、そんな事。


「え、今日からなの?」

「当たり前! 赤点取ったら修吾くんの作戦に付き合えないもん! 困るでしょ?」

「ま、まあ……」


 片柳が作戦を立ててくれてるんだし、いないと困る……よな。


「ふふ、じゃあうちに行こう!」



 

「はぁ〜、暑い……」


 たまらず、テーブルの上に置かれた麦茶を一気飲みする。渇いた体にキンキンに冷えた麦茶は効き目が抜群で、喉の渇きも体も満たされていく。


 タオルで汗を拭いて落ち着いたところで、部屋に行っていた片柳が戻ってきた。


「お待たせ〜」

「全然待ってない—って!?」


 片柳はどうやら部屋着に着替えに行っていたようだ。

 Tシャツとショートパンツというラフな服装。白く細い太ももがほとんど全部見えてる。 

 ま、まぁここは片柳の家だしラフになるのも当たり前か……。


「暑いね〜。クーラーこれから効くから」

「あ、ああ……」


 曖昧な返事になってしまった。

 それもそのはず。

 片柳が首元を少しズラし、手でパタパタと仰いでいたから。ズラしたせいで鎖骨や胸の谷間などが見える。本人は気づかないでやっているのだろう。


 ………片柳、無防備すぎないか? よくよく考えたら女の子の家に上がって2人っきりって……。


「修吾くん麦茶のおかわりいる?」

「ああ、頼む」

「ん」


 ってまあ、変に意識しているのは俺だけだよな。片柳が勘違いさせる行動なんていつものことだし。


 きっと何も起こらない。

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