第38話 兆し
旭は満足そうに眠っている。
旭と結ばれてからもう3ヶ月程経過している。
私の心にも不思議な変化が起こって来ている。
旭といると心が安らぐように感じているのだ。
私は旭が好きになっているのだろうか?いや違う、そんな恋愛感情ではなく、何か気持ちを安らがせてくれる力があるようだ。
旭と2人でいることは心地よいと感じている。
このまま旭を連れて帰ろうかとも思った、しかし洗脳している関係だからいつまで続くかは疑問だ。
昔私たちの祖先でスーパーヴァンパイアのナザレはラミアの母と別れてラムの女と平和に暮らそうとしたらしい、旭と一緒にいるとその話が何となくわかるような気がした。
平和で幸せな事はいい事なのかもしれない、しかし現実はそう簡単には行かない。
私は貧しい家族を何とかするためにラミアの戦士となった、帰ったらまた家族のために働かなくてはいけない。
でも……もしパワーの強い子供を、いや、もしスーパーヴァンパイアを産んだら私も家族も優遇されるわ。
「幸せも平和も戦って勝ち取るものよ、そう教えられて来たもの………」
最近私の体も少しだけ変化している。
いつもよりお腹が空くのだ、それに有るべきものが無い。
「そうだ、美也子女史に会いに行こう、検査薬も取り寄せてもらわなきゃいけないし」
私はベッドをそっと抜け出して美也子女史の家へ向かった。
「こんにちは美也子さん」
「いらっしゃい絵美衣ちゃん」ニッコリ迎えてくれた。
「今日はどうしたの?」
「頼みがあるの。V X1の検査薬を取り寄せてほしいのよ」
「そんな物何に使うの?」
「旭が調べてみたいんだってさ」
「ふ〜ん、最近随分仲良いのね?」チラッと見た。
「だって、私の彼氏だもの」
「ええ!もしかして…………」
「うふふ……そうよ……しかも妊娠したかもしれないわ」
「嘘でしょう?………本部に知れたら怒られるわよ」美也子女史は驚いた。
「でもスーパーヴァンパイアが生まれたらどうかしら?」
「それは………でもきっと確率は低いわよ……」
「まだ確定するまでは本部に内緒にしておいてね」
「わかった………」
私は美也子女史の家を後にした。
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