第39話  東京へ

修行を終えた私は羽田へ向かう飛行機の中にいた。


大きく旋回した機体の窓から東京の街並みが見える。


しばらく離れていただけなのに、随分懐かしく感じられた。


旭に会えると思うと嬉しい、心が躍るようだ。


しかしラミアの子と対決しなくてはいけない事を考えると少し憂鬱になる。


 


修行の後お母さんのお墓参りをして、父さんと今後の事を話し合った。


旭とラミアの子が一緒にいるのは良くない方向に向かうと思われた。 


私はラミアの子と対決して旭を取り返すことにしたのだ。


東京に到着するとまず浜田美也子の家を探した。


「このマンションか…………」私はマンションのエントランスで待ち伏せした。


彼女はコンビニの袋を持って鼻歌を歌いながら戻ってきた。


郵便ポストを確認してエレベーターへ向かおうとした。


そして私を見つけた。


「天羽さん!」彼女はひきつって後退りした。


「浜田先生、なんでそんなに驚くんですか?」


「だってあなたは……………」


「残念ながら覚醒したわ、ラミアの情報員さん!」


彼女は慌てて逃げようとした。


私は彼女に向かって手をかざした。私の頭の中には彼女の喉がイメージされている。


私は気を集中して喉を締めた。


「うっ!!!」彼女は胸を押さえて倒れ込んだ。


私は近づくと彼女の額に手を当て「あなたは東京が大嫌いだ、すぐに誰にも言わずここを出ていく」強い暗示をかけた。


彼女は青い顔をして慌てて部屋へ戻った。


しばらくすると大きなバッグを引きずってマンションを出た、慌ててタクシーを止めそのまま走り去った。


「さて………旭を取り返しに行くか………」私は旭の家である病院を目指した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る