第37話  幸せな日常

放課後いつものように絵美衣と部屋へ帰って来た。


シャワーに入ると俺は最近の日課である血の勉強を始めた。 


「旭は真面目なのねえ」絵美衣がシャワーから出てくると甘えて寄り添ってきた。


「だってさ、自分の血にVX1マイナスが含まれているって言われても、どうしたら確かめられるのかわかんないよ」


「そう…………ある薬を血に混ぜて検査用紙に付けると青い反応が出るわ、もしプラスなら赤い反応が出るの」


「そうなんだ、その薬は何処に行けばあるの?」


「普通には売ってないわ、でも取り寄せる事はできるかも……」


「そう、じゃあ取り寄せてくれる?」


「いいよ」絵美衣は優しく微笑んだ。


「もしかしてあの本に詳しく載ってるの?」


「ほら、いつも絵美衣が読んでた本だよ」俺は本棚の奥から探して絵美衣に手渡した。


「ええ?」受け取った絵美衣はページをめくって驚いた。


「そうね、これに詳しく書いてありそうだけど…………」絵美衣はそっと本棚に本を戻した。


「ねえ……その本は全く読めないんだけど、何語で書いてあるの?」


「これは…………古い文字なの………アイノイド語よ…」


「そう……全く解らないよ」


「いいの、もう必要ないから」


絵美衣はニッコリ笑うと。また抱きついてきた。


俺は絵美衣の胸に顔を埋めて甘えた。


「そういえば絵美衣、最近あのパンを作ってくれないね?」


「えっ?どんなパン?」


「あの茶色い血のパンだよ、久しぶりに食べたいなあ」


「そう……今日は材料が揃ってないから無理だわ、また今度作るね」


「うん、楽しみにしてるよ」


「それよりベッドに行こう……」上目遣いで見てきた。


「えっ……良いの?」


「勿論いいよ」


「絵美衣……大好きだよ」


俺はベッドに潜り込んだ、そして絵美衣を抱いた。

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