第36話  祝福

「旭〜………」絵美衣の甘い声が聞こえる。


俺は寝返りすると絵美衣を抱きしめた。


「もう今日から2人は恋人だよ」絵美衣が微笑む。


「そうだね、でも大丈夫?妊娠しないかなあ」俺は心細くなった。


「そんな簡単に妊娠しないわよ」ケラケラと笑っている。


「学校で恋人になったと発表しようか!」悪戯っぽい目で俺を見た。


「えっ!恥ずかしいよ」


「いいじゃん、旭は立派な男になったんだもの」


「やだよう………恥ずかしいよ」


絵美衣は相変わらず笑っている。


「絵美衣は嬉しいの?」


「勿論嬉しいに決まってるわよ」


「そうなんだ、なら俺も嬉しいよ」また絵美衣を抱きしめた。


とても甘い良い香りがした。


「旭、私のことが好き?」


「ああ、大好きだよ」



両親といつものように朝食を取った。


そしていつものように絵美衣と手を繋いで学校へきた。


「相変わらず仲良いねえ」みんなに冷やかされる。


教室に到着するなり絵美衣はクラスのみんなに宣言してしまった。


「旭と私は今日から恋人になりました、だからもう旭に言い寄らないでね」


「「「わ〜!!!」」」歓声が上がった。


「旭、やったな!ついに恋人かよ、羨ましいな!!!」周りの男子は俺を取り囲んで祝福してくれている。


ふと視線を感じて教室の隅を見ると遥ちゃんが1人冷めた目で見ている。しかし彼女はサッと視線を逸らす。

俺は気のせいかと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る