第18話  事件

不良は七香の手を掴んだ。

七香はニコッとしてその手をグッとひねって関節を攻撃した。


「痛え!」不良の1人が倒れ込んだ。


それをキッカケに他の不良達が七香に掴みかかった。

七香はスッとすごい速さで交わすと軽く蹴りを入れた。

蹴られた不良は吹っ飛んだ。

他の不良達は息をのんだ。

七香はまたすごい速さで穂乃果ちゃんのそばに行き、不良から引き離した。


不良のリーダーは七香にパンチを繰り出した。

七香はスッと交わすとまた軽く蹴りを入れた。

不良のリーダーも吹っ飛んだ。


「うわ〜!!なんだこいつ、不気味だ〜」他の不良達は慌てて逃げ出した。


「今度この姉妹に近づいたら本気で骨をへし折るからね!」


そう言って穂乃果ちゃんを連れて俺のところへ戻ってきた。


「旭、行こう」


「うん」


3人は駅の表通りに戻って来た。


「七香ちゃんって凄い」穂乃果ちゃんは目を大きく瞬かせて驚いている。


「そんな事ないよ」七香は少し口角を上げた。


しかしその後七香は崩れ落ちるように倒れ込んだ。


「七香!大丈夫か?」


七香の顔を覗き込むと血の気の引いた顔をしている。

穂乃果ちゃんと七香を抱き起こしてタクシーを止め自宅の病院まで運んだ。


「旭くん、七香ちゃん大丈夫かなあ」穂乃果ちゃんは不安そうに言った。


「七香は慢性的な貧血症なんだよ」俺はとりあえず嘘をついた。


「そうなの、もし私の血でよかったら提供するよ」


「そう、じゃあお願いしてもいいかい」


「勿論よ」


七香を空いてる病室に運ぶとベッドに寝かせた。

横のベッドに穂乃果ちゃんを寝てもらった。

腕に針を刺すと穂乃果ちゃんに見えないように七香の口にパットを咥えさせた。

血を分けてもらったら、今度は穂乃果ちゃんに点滴を打った。


「ありがとうね穂乃果ちゃん」


「ううん当然よ、不良達から助けてもらったんだもの」


「そうか、七香ちゃんはいつも静かに微笑んでるのはそう言う事だったんだ」穂乃果ちゃんは1人で納得している。


俺は何も否定しなかった。

穂乃果ちゃんが帰った後俺は七香を抱き起こし俺の腕を七香の口に軽く当てた。

七香は力なく俺の腕に吸い付くといつもより少し多く俺の血を吸った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る