第15話  覚醒

「旭、私もう少しで覚醒できるの」


「覚醒?」


「そう、覚醒できたらもう血が今程必要無くなるの」


「そうなの?」


「私の体はまだ発育途中でいろんな血の栄養が必要なのよ、でも覚醒できたらずっと少なくても大丈夫になるの、旭の血が月に一度今の半分ほどあれば大丈夫になると思うわ」


「本当かい?」


「うん、それまで協力してね」七香は抱きついた。


「うん、俺頑張るよ」


「ありがとう、覚醒できたら旭の恋人になる」


「えっ!本当?」


「うん、ずっと心に決めてたから」


「そうなんだ、嬉しいなあ」俺は七香の肩を抱きよせた。


「18歳までに覚醒出来たら何とか大丈夫なの、でも覚醒出来なかったら私の体はダメになって行くの」


「えっ、そうなの?」俺は七香をじっと見つめた。


七香は少し恐怖な目をして唇を噛んだ。


「私たちヴァンパイアには色んな宿命があって、それを超えて行かなくちゃあ生きられないの」


「えっ?」聞きなれない言葉に俺はビクッとなった。


「そのうちにちゃんと話したいと思っていたんだけど、上手く言える自信が無かった、それに旭がビックリして私を嫌いになるような気がして…………」


「俺は何を聞いても七香を嫌いになったりしないよ」


「本当?」


「ああ、絶対に嫌いにならないよ」


「ありがとう、とっても嬉しいわ」


「ねえ、ヴァンパイアの人って沢山いるの?」


「ううん、とても少ないわ」


「だよね」


「それに皆んな秘密にして出来るだけ気づかれないように生きてるし」


「そうなんだ」


「七香のお父さんもヴァンパイアなの?」


「うん、とてもパワーの弱いヴァンパイアなの」


「そうなんだ、お母さんは?」


「お母さんは普通の人だよ」


「私を妊娠したら殆どの栄養を私に吸い取られちゃったから、お父さんはずっと病院でお母さんに付き添ってるの」


「だから側に居ないんだね」


「うん、ずっと病院だからね」


「七香は寂しかっただろう?」


「うん、でも旭や旭の両親に優しくしてもらったから幸せだったよ」


「そうか、これからもずっと一緒に居ようね」

俺は七香を思いっきり抱きしめた。

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