第14話  棚ぼた

一週間程経っても次の候補が決まらずにいた。

七香は芽衣沙ちゃんの横を通り過ぎると目をパチクリさせた。


「どうしたの七香?」


「芽衣沙ちゃんが………綺麗な赤色になってる………」


「ええっ!…………ってことは?」


「もうバージンじゃ無い」


「本当に?」


「間違いないわ」


俺は芽衣沙ちゃんに話しかけた。


「本当に俺でいいの?」


「えっ?……あっ、ごめん、私憧れの先輩から告白されたの」


「えっ?」


「通ってるダンススクールの先輩でずっと好きだったのよ」


「そうなんだ………」


「ごめん。今私ラブラブなんだ」ニッコリ微笑んだ。


「そう………よかったねえ」俺も微笑んだ。


「そうだ!私ここ何日か寝不足なの、ずっと夜もメールしてるから、旭は元気の出る点滴をしてくれるって聴いたけど本当?」


「ああ、よく頼まれて点滴してるけど………」


「私もお願いしていい?」


「勿論だよ」


「じゃあ今日の放課後お願いしようかな」


「勿論OKだよ」


放課後に芽衣沙ちゃんと帰ってきた。

そして空いてる病室で点滴を打った。

勿論ベッドの下には七香がいる。


「芽衣沙ちゃん、よかったね好きな人から告白されて」


「うん、私なんか絶対に相手にされないと思ってたからびっくりしちゃった」


「だって芽衣沙ちゃんはキラキラ輝いてるよ」


「本当?」


「ああ、眩しいくらいさ」


「ありがとう、なんか自信がついてきた気がするよ」


「はい、無事に終わりました」


「ありがとう旭!」

芽衣沙ちゃんはニッコリと帰って行った。


「私、旭にいっぱい嫉妬したのに」七香は窓から帰っていく芽衣沙ちゃんを見た。


「ちょっと嬉しかった」俺は七香を後ろから抱きしめた。

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