第12話 旭の人気
最近クラスの女の子が優しくなったような気がする。
発端は樹絵ちゃん、そして花蓮ちゃん、それに郁ちゃん、みんな血を分けてもらうために一生懸命対処した。
それが好感度を上げたらしい。
元々開業医の息子というポジションもあるし、イケメンとは言わないが母親は美人なので多少はそれも反映されているかもしれない。
そして決定的なのが、そばにいて仲が良いのは七香という事実だ。
校内一の美人で天使のような七香がべっとり寄り添っている事だ。
その事が俺の価値をかなり高めているようだ。
人の物はよく見える物なのだ。
しかし幼馴染であってどうも恋人ではないらしい?そんな憶測がさらに煽っている。
「旭くん、今日は帰りに金木犀に寄って行くの?」花蓮ちゃんが聞いてきた。
そばにいた七香がピクっとなった。
「どうしようかなあ…………」
「私は今日用事があるから」七香は少し不機嫌そうに出て行った。
「おお!こわ〜い」花蓮ちゃんはニッコリ帰って行った。
部屋に帰ると七香は例の本を顔に乗せて寝転んでいた。
そっと本を退かすと眉を寄せて唇を噛んだ。
「用事じゃなかったの?」
「そっちこそ金木犀に行かなかったの?」さらに不機嫌そうになった。
「やきもち焼いてくれてるの?」七香を見つめた。
「知らない!」七香は横を向いた。
「俺、七香以外には興味がないよ」
「本当?」
「当たり前じゃないか」
「旭〜」七香は俺に抱きついた。
「俺は七香が大好きだ、他の子は好きにならないよ、でも仲良くして血を分けてもらうんだ」
「う…………私のためにごめんね」七香は申し訳無さそうな顔をした。
七香に血を分けてもらうための行動が、何故か俺の好感度を上げるという奇妙な現象が起きている。
七香は複雑な気持ちらしい。
血は必要だし、でも俺が他の女の子と仲良くなるのはやはり嬉しくないようだ。
それでも月初めはやって来る。
七香は「赤い味の血」をリクエストした。
俺はいつもの様にクラス女の子を物色した。
「赤い味ねえ………ザクロの様な………情熱的な………」
目に止まったのは、たまたまうちのクラスに来ていたダンス部の
彼女は赤い髪でメイクも上手だ、イケてる女の子の代表的な感じでファッションリーダーでもある。
ともかくカッコいい女の子なのだ。
俺は七香に目配せして打診した。
七香はいつもの様に近づいて確かめた。
戻ってきて俺に言った。
「彼女はバージンよ、だから少し青い味が混ざっちゃうの」
「えっ!あのイケてる芽衣沙ちゃんがバージンなの?」俺は驚いた。
「そうよ、間違いないわ」七香も不思議そうにした。
俺は考えた、「どうなんだろう?」こちらの都合でバージンを捨ててもらって良いんだろうか?
「ねえ七香、何とかバージンのままで飲めないの?」
「う〜ん、難しいなあ、戻してしまうかも」切なそうに言った。
「そうか………じゃあ誰か紹介してみようかなあ」俺は考えた。
イケメン四天王の中でヒップホップダンスが得意な
早速金木犀に祐湖を呼び出した。祐湖にはやはり色々と協力している。
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