第10話  オレンジ味の血

毎月、月初めは血の味の物色となっていた。

七香はオレンジ味の血が欲しいと言っている。

俺はまたクラスの女の子を物色している。


「ねえ、倉木遥くらきはるかちゃんはどう?」


「あの子はダメよ、いつもより強い口調で言った」


「どうして?」


「あの子は黒い味の子だわ、前に近づいた時なんか普通の子と違う感じがした」


「そうなんだ………」


「とても飲める血ではない気がする」


倉木遥ちゃんは七香の次に成績が良い秀才の女の子だ、しかしあまり人を寄せ付けない空気感を持っている。

普段はおとなしいが、時たま鋭い視線を感じる時がある。それに努力しても七香に決して勝てないことに苛立ちがあるように思えた。

七香をライバルだと思っているのかもしれない。


「念の為に確かめてみたら?」


「…………うん…………どんな血か確かめてみる」七香は糸くずを持って近づいた。


その途端遥ちゃんは振り向いた、少し怯えた表情だ。


「何!何なの!」七香を睨んだ。


「糸くずが付いてるから取ってあげようと思って」七香は微笑んだ。


遥ちゃんはさらに怯えた表情になった。


「良いの!糸くずなんてほっといて、だから近づかないで」


七香を睨んだ。


七香はニッコリして「ごめんね余計なことして」そう言って離れた。


「ごめん、今ちょっと嫌なことがあって気が立ってるの」そう言って謝った。


「あの子はやっぱり無理みたい、私が近づいたことを気配で感じ取ったみたい」


「そうなんだ………」




「じゃあ…………星月郁ほしずきいくちゃんはどう?」


七香はいつもの様に近づいた、そしてニッコリした。


「大丈夫、とってもいい感じの濃いオレンジ味だわ」


「そう、じゃあどうやって血を分けてもらおうかな………」俺は考えた。

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