第7話  ピンク味の血

七香は「ピンク味の血が欲しいなあ」そう呟いた。

俺は考えた、今度はピンク味か………桃の様な感じの味かなあ………そしてまたクラスを見渡した。

目についたのは琴森花蓮こともりかれんちゃんだ。 

花蓮ちゃんはショートボブの可愛い子だ、小さめでロリ系美少女なのだ。

アニメオタクで持っている物もキャラクター物が多い。

俺は七香に花蓮ちゃんを打診した。


七香はまた糸くずを持って花蓮ちゃんに近づいた。


「花蓮ちゃん髪に糸くず付いてる、取ってあげるね」そう言ってうなじに近づいた。


「ありがとう七香ちゃん」とても可愛い笑顔を見せた。


七香は戻ってくると少し眉を寄せ難しい表情になった。


「花蓮ちゃん………何か悩みがあるみたい、ピンクを通り過ぎて紫って感じ……」


「そう………じゃあ何とか悩みを解決してあげられたらいいのにねえ」


「そうね………」七香は少し残念そうな顔をした。



早速放課後になると、帰る花蓮ちゃんを待ち伏せした。


「やあ花蓮ちゃん、一緒に帰ろうよ」


「えっ?いつも七香ちゃんと帰るんじゃあないの?」


「うん、その七香が花蓮ちゃんが何か悩みがあるんじゃないかって心配してたから」


「えっ!………」驚いた後俯いた。


「余計なお節介だと思うんだけど、俺に話してみないか?」


「旭くんが悩みを聞いてくれるの?」


「うん、一応医者を目指してるから相談しやすい人になりたいと思ってさ」俺はニッコリ微笑んだ。


「そっかあ、旭くん偉いんだねえ………」


「そんな事ないよ」


「じゃあ聞いてもらおうかなあ」


「俺の知り合いのカフェがあるからそこでどう?」


「いいけど…………」


「じゃあこっち」俺は花蓮ちゃんを父の友人がやっているカフェ『金木犀』へ案内した。


「甘いモノ好き?」


「うん、大好き!」


「マスター、金木犀パフェを2つお願い!」


「了解!」


二人でパフェを食べながら話した。


「私中学は父の仕事で四国の香川県にいたの、高松第2中学だったわ。そこでとても好きな子がいたのたかしくんって言うんだけど、同じクラスだったの。彼とは仲良かった、でも引っ越す時会う約束をしてたのに、うまく引っ越しが進まなくて約束の場所に行けなかった。

それからメールも通じなくなっちゃって………」


「そうなんだ…………」


「好きだって言えないままで………」花蓮ちゃんは寂しそうに項垂れた。


「そうだったんだ…………」俺は考えた。


「ねえ花蓮ちゃん、崇くんに会いに行こうよ!」


「えっ?どうやって?」


「今度の日曜に飛行機で高松まで行こうよ」


「ええ〜?」


「俺さあ、最近お小遣いを使ってなかったんだよ、そうしたら父親が必要ないんだったら減らすなんて言うんだぜ、酷いだろう。だから何か素敵なことに使いたかった訳、だから飛行機のチケットは俺に任せてよ」


「そんなの悪いわ」


「いいんだよ、その方が俺も助かるんだけど………」


「本当?」


「うん、本当さ!」


「じゃあ早速予約するね」俺はスマホから予約した。


「崇くんに連絡取れる?」


「中学のお友達だった歌音かのんちゃんに伝えてもらうよ」


「飛行機の時間を考えると11時から5時までは時間があるから崇くんと話しておいでよ」


「ありがとう旭くん」花蓮ちゃんは目を潤ませた。

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