第2話 野良猫、新しい我が家。
新しい家に着き、床に降ろされた。
この家は以前の家よりも狭かった。
人の気配やほかの気配は全くしない。
きっと一人暮らしなのだろう。
ご主人様が戻ってきて、今度はフワフワのタオルで体を拭かれた。
「君の毛並みいいね。フワフワしてる。」
拭かれた後、軽く毛並みを梳かしてくれた。
とても心地が良くて、もっと梳いてほしくてご主人様の手に体重をかけた。
そんなご主人様が僕の顔を見ながら首を傾げた。
「君の名前は何だったのかな…。」
僕の名前が何だったのか考えてるみたい。
僕は皆から〖アメ〗と呼ばれていた。
意味は全く分からない。ただ、〖アメ〗という名前は嫌いではなかった。
「紺…」
ご主人様が僕を見つめながら呟いた。僕の新しい名前かな?
分からないけど、僕を呼んでくれた気がして嬉しくて鳴いた。
「紺って名前でいいの…?」
名前なんて何でもよかった。僕はご主人様が読んでくれることが一番の幸せなのだから。
元気よくもう一度鳴くと、ご主人様は優しく微笑んだ。
「紺。これからはここが君の新しい家だよ。」
前の家よりは狭いけど、僕のことを助けてくれたご主人様との生活ならどこでも嬉しい。
「ようこそわが家へ。これからよろしくね。」
「ニャー!」
こちらこそよろしく。僕の気持ちが伝わるように鳴き、僕とご主人様の1匹と1人の新たな生活が始まった。
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