第7話 和三盆
3人にとってのサトウキビ畑は、いわば思い出の地である。サトウキビの高さは小学生の身長よりも高く、鬼ごっこをするには最高であった。よく、勝手に敷地に入っておじさんから怒られていたことを思い出す。
いつも集まっていた木の下で待っていると、2人は同時に来た。もういい大人の3人が気まずそうに向かい合った。
「ここ懐かしいよなー。あそこのおやじによく怒られたよな。」
俺は、あえて先週のことには触れず、思い出話を始めた。
「本当に懐かしいよ。とか言ってあのおやじたまにコーラくれるんだよな。」
雄也が続く。
「この木の下でも、よくゲームやったよね。陸太が異様に上手だったの覚えてる。」
紗耶も加わる。
そっからは、思い出話に大いに花が咲いた。当時のことを思い出しながら話していると、本当に当時に戻ったようである。
もう、何だか、関係も中学の時のように戻ってきた気がする。
「久々にみんなでコーラ飲もうぜ。」
雄也が提案した。
15年以来の3人での乾杯であった。飲み物も当時のままで、何だか変な気持ちである。やっぱり3人でいるのは楽しいなと心の底から思った。3人とも笑顔が止まらない。
先週は、お互いがお互いに期待しすぎていたのかもしれない。15年もあっていないのだから、いい思い出だけが美化されていたのであろう。3人とも環境は変わって、性格も変わっているところもあるけれど、3人でいる楽しいという化学反応は、ずっと変わらないでいてくれるのかもしれない。
気がつくと3時間くらい経って、日も傾き始めていた。最後のコーラを飲み干し、
「また、集まろうな。」
そう言って解散した。この友情が永久に不滅であることを願って。
和三盆 @かあ @kaa999
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