リガルティア世界設定資料

経済

小分け経済 中国史について

剣『では次に小分け経済について説明しましょう！』

チ「それは良いんだけどにゃ。何で急に中国史が出てきたんだにゃ？」

剣『実はこれから話す小分け経済の前に、中国史について一度話さないといけないんだ。さて、チィ君。中国ではしょっちゅう王朝が変わっているけど、その原因はなんだと思う？』

チ「わかりません！」

剣『抽象的過ぎましたね。じゃあ、王朝が滅ぶ原因はなんだと思います？』

チ「農民の反乱かにゃ？」

剣『大きな要因ですね。そして、何で農民が反乱を起こすのかが、今回のキーです。さて、何が原因で起きるのでしょうか？』

チ「汚職とか腐敗が原因と言われてるんだにゃ？」

剣『そうですね。では次に何故汚職や腐敗で農民が反乱を起こすんでしょうか？』

チ「にゃあ？　うーん……多分、お金が上の方でだけ回って、農民は搾取されるだけになるからだにゃ」

剣『そこです！　一番の原因は『お金が一か所でしか回らない』と言うのが原因です。ちなみに景気が良くなると言うのはどういった状況でしょうか？』

チ「にゃあ？　お金が沢山ある状況かにゃ？」

剣『ちょっと違います。正解は『お金が高速で回転している状況』です。ぶっちゃけ、景況と言うのはお金が速く回れば好景気で、遅く回ったら不景気なんです。お金が回る速度が大事なんですね』

チ「なるほどにゃあ」

剣『そして、お金が一か所でしか回らない状況と言うのは、他の場所では回らない……すなわち不況になるんです。ここで、今度は逆にローマ帝国について話しましょう』

チ「今度はローマが出てきたんだにゃ！」

剣『ローマの場合も似たようなことが起きましたが、実は少しだけ違う状況になりました』

チ「何かにゃ？」

剣『中央でだけお金が回るようになったんです』

チ「にゃあ？」

剣『地方にはお金が回らなくなり、中央だけ好景気で地方が不況になる状況になったんです』

チ「洋の東西問わず。政治は大変だにゃあ」

剣『実はですね……この問題は現代でも解決出来てないんです』

チ「なぜにゃ！　ローマは滅びたけど現代には関係ないんだにゃ！」

剣『そう言いたいのは山々ですが、ローマでも中国でも、現代でも、ある条件が揃うとこうなってしまうんです』

チ「何かにゃ？」

剣『巨大経済圏です』

チ「にゃあ！」

剣『広大すぎる単一の経済圏が出来ると、中央にだけお金が集積されて、地方には回らなくなるんです』

チ「酷い話しだにゃあ！」

剣『実は中国史で王朝が度々変更するのもこれが原因で、広大すぎる地域に単一の経済圏が出来ると中央に人と金と物が集ってしまうので、その影響で過疎化が起きてしまうんです』

チ「困った話しだにゃあ」

剣『一応、各王朝はこれに対して対策はしていたんですが……』

チ「ですが？」

剣『最初の秦は全てを中央に集めて、地方を管理しようとしましたが、タイムラグが激しく、早い段階での対処が出来ませんでした』

チ「にゃあ……」

剣『次に晋王朝は地方に皇族を王として立てることで、そういったことに対策しようとしましたが……』

チ「しましたが？」

剣『その各王が反乱を起こして滅茶苦茶になりました』

チ「これも酷い話しだにゃあ！」

剣『その後、色んな王朝が対策を立てたんですが、結局、どれも最後には崩壊してダメになりました』

チ「中国の歴史は大変だにゃあ……」

剣『そして、現代ですけど……ギリシャが経済破綻したのもこれが要因の一つです』

チ「にゃあ？」

剣『ユーロ政策がギリシャの実情に合わなかったんです』

チ「にゃあ？」

剣『元々、ギリシャは古代遺跡の観光産業で成り立っていた国です。だからドラクマ安政策を行って、観光に来やすい環境を整えていたんです』

チ「にゃあ？　それが何で急にダメになったんだにゃ？」

剣『ユーロを主導していたドイツは生産産業の国です。当然ながら、その辺の齟齬がどんどん大きくなって言ったんです』

チ「にゃあ？　あまり関係が無い気がするにゃあ？」

剣『ドラクマ安が結構大きかったみたいですね。ギリシャは特に生産産業が無かったので、ドラクマ安にしても周りが困ることは無かった。だけど、生産産業の国では通貨安はありがたいけど、困った事も起きる』

チ「何かにゃ？」

剣『作った物売る時は良いけど、材料買うときに高くつく』

チ「良し悪しだにゃあ！」

剣『そうなると単純にギリシャなみの通貨安政策は難しい。これ以外にも色んな要因があって破綻したんだけど、大きな問題はこれかな？』

チ「にゃあ……それで、今回のお話は結局何が言いたいんだにゃあ？」

剣『ここまで大きな問題になるのは珍しいけど、こういったことは色んな国で多々起きているんだ。中央政府の意向が必ずしも地方にとってプラスにはならず、マイナスになったりする。これの積み重ねで最終的に一番得するのは中央だけになってしまう』

チ「上手く行かないんだにゃ……」

剣『結局、中国の王朝も腐敗云々よりも、ここが問題だったんだよ。だから地方から経済破綻して、破綻した地域の農民が反乱を起こして、王朝が交代する』

チ「にゃあ……歴史は繰り返す……」

剣『そして、こういった『地方格差』を無くすために小分け経済論というのが出てきたんだ』

チ「ようやく本題に入ったんだにゃあ！」