孤児 ファン

剣『ではエニル制の悪い点と言える部分も説明しましょう』

チ「嫌な予感がするんだにゃあ……」

剣『一言で言えば、『』ことが出来ます。家族会議に弁護士を同席して、多数決で追い出すことが出来ます』

チ「怖い話が来たんだにゃあ!」

剣『と言ってもこれはある意味仕方が無いことで、色んな家族と一緒に住むとそれゆえの弊害と言うのがあります。やはり、近親だからこそ許せないことも多いんです』

チ「例えばどんなことにゃあ?」

剣『ニートとDVです』

チ「……意外にまともな理由だにゃ!」

剣『当たり前です。ニートはあくまでも我が子だからこそ許す気になるんです。これが同じ家の子とは言え、別の子になれば怒って追い出すのも仕方が無いでしょう?』

チ「確かに自分の子でも無いのに面倒を見させられるのは嫌だにゃあ……」

剣『そして、基本的に複数のお父さんお母さんが居るんですから、直接の親は反対しても家族会議で他の親は反対します。だから追い出されてしまうんです』

チ「厳しい家族制だにゃあ……」

剣『と言っても、あんまり起きないんですけどね』

チ「???? 何故だにゃあ?」

剣『そりゃ、『追い出すことが出来る』とわかってて、ニートやってるのは相当なアホだろう? それにニートってのは、親が偏った考え方だから生まれるもんでもあるんだ』

チ「どういうことかにゃあ?」

剣『子供の人生を『こうさせたい!』っていう親の子ほどニートになるんだ』

チ「ちょっとわかりにくいんだにゃあ?」

剣『実はニートや陰キャにしない子供育ての一番の方法は『他の子に合わせる』ことを徹底させることで、親の育て方を押し付けるほどニートになりやすいんだ』

チ「それはどうしてかにゃあ?」

剣『他の子と合わせられないから。そうやって子供時代に友達を作りにくい環境を親が作り出してるから、友達を作り損ねてそのままコミュ力の無い子供に育って、常に一人ぼっちになるんだ』

チ「悲しいにゃあ……」

剣『というかおじさん達40代の子供の頃に習い事が多くて遊べなかった奴ほどニートになってるんだが、それ見てるのに、何であんな育て方するんだろ?』

チ「親が望む生き方とは真逆になったんだにゃあ……」

剣『それとか親が謎の価値観を押し付けて、何かと『こうやれ』と口出ししまくってた親の子ほどニートとか陰キャになったのに、何でそこから学ばないんだろ?』

チ「人類は終わりの無い幸福と不幸のワルツだにゃぁ……………………」

剣『まあ、その辺は置いといて、流石に追い出されることが出来るとわかってるとそう言った事からは逃げないんだわ。親も偏った育て方しようとしても、他の親がやらせないし、それなりにちゃんとした子供が出来るのもエニル制の良い所だね』

チ「その例が少なくてなによりだにゃあ」

剣『しかしながらDVは別で、こちらは追い出される理由として一番多かったりします』

チ「暴力反対だにゃあ!」

剣『これはある意味しょうがないことで、やはり戦争中という時勢もあいまって、非常に暴力的に人間が多いです。それ故に家庭内暴力が多くて追い出されることも多々あります』

チ「それは悲しいんだにゃあ……」

剣『ただ、それでも徴兵に出ていた者なら一定の精神治療を受けられたりすることもありますし、精神病や老人の認知症の場合は、老人ホームのような物があるのでそう言った施設に入れたりします』

チ「救いの手はあるんだにゃあ!」

剣『ただ、どうしてもこれに入らない、ほんまもんのヤバい連中のみが孤児ファンになります』

チ「ファン?」

剣『これは完全に単独で生きる人達で、根無し草のような人達です。こういう方々は結局犯罪系の仕事か、アンダーグラウンドの仕事しかできないです』

チ「どんな世界でも適応できない人って居るんだにゃあ……」

剣『それは仕方が無いことだよ。ただ、こういった人たちの中に『自由人』と呼ばれるエニルが生まれることもありますので、決してそこからまた上がれない訳でも無いです』

チ「色々あるんだにゃあ……」


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