科学と魔法の違い
剣『では次に一番重要な双方の技術の違いについて説明しましょう!』
チ「妙にテンションが高いんだにゃ!」
剣『一番浪漫がある場所なんでね。この最大の違いはズバリ『ビーム』です!』
チ「ようやくSFっぽい用語が出てきたんだにゃ!」
剣『実はこの世界では魔法兵器は全て『ビーム兵器』です! そして科学兵器は全て『質量兵器』です! ですので弾丸を飛ばすのは科学でビームを飛ばすのが魔法です!』
チ「わかりやすいんだにゃ!」
剣『たったこれだけを説明するだけにここまで説明が必要になるSFはめんどいなぁ』
チ「急にやる気が下がったにゃ!」
剣『まあ、端的に言うとこれが大きな違いです。ですがこれには大きな理由があります』
チ「どんな理由だにゃ?」
剣『先に説明しましたが、科学はそもそも『アウルが使えない』から科学技術が発達したという事実があります。これは言い方を変えると『アウルの技術格差』が関係しています』
チ「うーん……どういう意味かにゃ?」
剣『アウルという無限エネルギーを使えることに関しては一緒なんだけど、それを扱ってきた年月の差が大幅に違うからです。先ほども言ったようにアウルが使えればアウローラ航法は使えますが、使えなければ惑星から出るだけで一苦労です。つまり、大半の科学系国家は惑星すら出られないことになります』
チ「それはおかしいんだにゃ! アーカム連邦もライオーグ連邦も科学技術の国だにゃ!」
剣『これは、この二つがたまたま連星になっていたから、割と早い段階でアウルが使えるようになったからです。だから独立を勝ち取ることが出来たんです』
チ「凄い偶然だにゃ!」
剣『宇宙でもたまにはこういった事があります。言い方を変えると科学国家は宇宙に進出してもまだアウルが使えないことになるんです。それはどういう意味か解りますか?』
チ「……………………あっ!」
剣『そうです。現在の地球人類の歴史自体は10万年と非常に長いですが、実際に文明を持ち始めたのは一万年前でまともに歴史が記録されはじめたのは千年前。科学技術が本格化し始めた時期にいたってはまだ200年前です。それに対して魔法国家は約1万年前から使い始めることが多いんです』
チ「積み重ねの時間の差が激しいんだにゃ!」
剣『さらに科学と魔法では解釈が異なると言いましたね? そうなると単純に彼らの真似ができるとは限らないんですよ。結果、科学側は必ず『科学的に開発』するしか無いので、どうしても魔法技術に対して『効率』の面で大きく劣る結果になります』
チ「悲しいんだにゃ!」
剣『そして、それは兵器に対しても差が出てきます。魔法側は攻撃も防御も全部アウルで賄えるのに、科学側は動力にしか割けないというデメリットが存在します』
チ「それじゃ圧倒的に不利だにゃ!」
剣『……………………と思いきや、実は戦争では逆に科学の方が有利だったりします』
チ「……………………どうしてだにゃ? 全部ビームにした方が有利じゃにゃいかい?」
剣『戦争には常に『継戦能力』というのが存在します』
チ「???」
剣『一言で言えば『戦闘を続けられる能力』のことです。簡単に言うと『銃弾が尽きたのに戦えるわけねえだろボケ!』ってことです』
チ「口がわるいんだにゃ!」
剣『実はここが魔法側の悪い所で、効率的に運用できるせいでそれに頼ってしまうんです』
チ「どういうことかにゃ?」
剣『たまにあるんだよ。上場企業の工場で働いていた奴が町工場に来てポンコツになってしまうことが』
チ「????」
剣『良い所の会社で働くと色んな物が揃っているのが当たり前になるんだ。それに対して町工場は『道具が足りない』のが当たり前だから、その辺は工夫しないといけない』
チ「わかるようにゃ……わからにゃいようにゃ……」
剣『つまり、ビームで何でもできるとアウルが切れると何もできないってことだろ?』
チ「……………………あっ!」
剣『それに対して銃弾はたっぷり用意さえすればいくらでも撃てるからな。そうなると銃弾は多めに用意するのが当たり前になる。相手は時間さえあればなんぼでも銃弾補充できるからな』
チ「それでもチートしてるように聞こえるんだにゃ!」
剣『ところがどっこい! 現実にはこういった有利な方が負けることが多いんだ!』
チ「何故だにゃ!」
剣『こうなると『予備弾倉』の準備がおろそかになりがちなんだ。確かに魔法側のメリットはビームを操る能力に極めて優れているのが大きい。ところがこれにはもう一個困った問題が起きるんだ』
チ「何かにゃ?」
剣『熟練の技術が必要とされるんだ』
チ「??? 科学の戦争も熟練の技術が必要とされるようにゃ……………………」
剣『そのレベルが全然違うんだ。確かに優れた兵士なら下手な科学側の兵士よりも強いんだけど、それほど強い兵隊がそうそう作れるわけでもないんだよ。ゲームじゃないんだから』
チ「……つまり扱える兵隊の熟練度格差が酷くなるのかにゃ?」
剣『そういうこと。これを補うために学校で戦争系部活を中心に添えて熟練の兵士を手に入れやすくはしているんだけど、そう言うことは科学側もきっちり真似している。そうなると、同じ熟練兵士でも必要とされる技量はより『職人』に寄ってしまう。腕の良い兵士を手に入れる困難さは科学側とは比べ物にならないほど難しいんだ』
チ「優れているのが素晴らしいとはかぎらにゃいんだにゃあ」
剣『そういうこと。足りなくて当たり前だからこそ逆に強い軍隊を作れているのが科学側になる。この差は後々に大きく響く話になるんだ』
チ「戦争するのも大変だにゃあ……」
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