アウリルト

剣『そして、このアウローラ航法をするためには、あることが重要になってきます』

チ「なんだにゃあ?」

剣『激流下りをする関係上、。何しろ、激流下り中は物凄いエネルギーの奔流に揉まれてしまうので、アウローラに入ってしまうと完全にコントロールが効かないんです』

チ「とんでもないやり方なんだにゃあ!」

剣『とは言え、ポイントさえ間違えなければ確実に同じところに行けるというメリットもあります』

チ「それでも怖いんだにゃあ!」

剣『ここで、前にも出た『急所を突くような航路が何で見つからなかったのか?』という問題が生まれますが、その理由はわかりますか?』

チ「……あっ!? ひょっとして、このアウリルトが発見されたのかにゃあ?」

剣『正解です。当たり前ですが、そんな危ない航法をやみくもに進むわけには行きません。量子通信装置が入ったポッドを何千と放って、上手く星系に辿り着く所から始まります。そこから次に送るのは安定して星系に入れるポイント探しから始まり、並行して戻ってくるアウリルト探しから始まります』

チ「地道な作業をひたすら繰り返すんだにゃあ!」

剣『そうやってようやく見つけた航路も必ずしも良い星系とは限りません。どちらかと言えば居住不可能な惑星しかない星系の方が多いです』

チ「それで、移動するための中継星系が必要になるんだにゃあ」

剣『その通りです。そもそもが、都合よく良い星系だけを通るとは限らないのが辛い所なんです。それで航路確保のための星系があるんです』

チ「ややこしいやり方なのはそんな理由があったんだにゃあ」

剣『まあ、こういうやり方にしたのは別の理由もあったんだけどね』

チ「どんな理由なんだにゃあ?」

剣『この物語はスペースオペラでもあるから、最終的に戦争のシーンが出てくるんだけど、戦争物にはある問題がつき纏うんだ』

チ「どんな問題なんだにゃあ?」

剣『? っていう理由付け』

チ「それは戦争中だから仕方ないんじゃないかにゃぁ?」

剣『それはそうなんだけど、戦史ヲタクとしては『重要拠点の取り合い』ってのを明確にしておきたいのよ。単なるワープ航法だと、どこからでもワープできるから、『その拠点取らなくても良くね?』っていう問題が生まれるんだわ』

チ「どうしてかにゃ?」

剣『だって、ワープできるんなら相手の首都に大戦力をワープした方が良いだろ? その方が短期決戦で済むんだし』

チ「……………………あっ!?」

剣『まだ、前線基地ならわからんでもないけど、ワープできるんなら手っ取り早いっていう問題が起きるんだ。何しろ全部の戦艦がワープできるからね』

チ「身もふたもない勝ち方なんだにゃあ……」

剣『早い話しが『物語にならない』んだよ。このやり方だと不便だけどちゃんと拠点の取り合いと言う戦争物の醍醐味を入れることが出来るから、その方が良いんだ』

チ「作者の都合でこんなめんどくさいやり方になったのかぁ」

剣『ここまで考えるのは結構難しいんだぞ?』


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