アウローラ航法
剣『では次にアウローラ航法について説明します。このアウローラ航法というのは何のことかわかるかな?』
チ「SFでありがちなワープ航法の一種です!」
剣『正解です。SFごとに色んな理由を付けてワープしておりますが、要は超長距離を跳ぶ方法です。では何でこんなやり方が必要なんでしょうか?』
チ「わかりません!」
剣『宇宙空間と言うのはとても広い空間で、光の速度で飛んでも目的に辿り着くまでに何年も何十年も何百年もかかってしまいます。じゃあ、逆に超光速で飛べばいいじゃんとなりますけど、そうも行きません』
チ「何故です?」
剣『まず、特殊相対性理論によって物体は光速を超えて飛べないことが一つ。そしてもう一つが光速でもスピードが速すぎる点です』
チ「??? 光速は超えられないのはわかるんですけど、光速が速すぎるというのは?」
剣『宇宙空間は常に何もないとは限りません。わずかながらに原子が浮遊していたり、時には大きな岩が転がっています。さて、時速100kmで大岩に衝突するとどうなりますか?』
チ「死にます」
剣『拳銃の弾は遅くても秒速200mは出ます。これは時速にして720kmもありますが、光速はこの百倍以上速いのです。当然ながらそんな速さでは米粒が当たっただけでも戦艦が爆砕することになります』
チ「恐ろしい米粒なんだにゃあ!」
剣『以前、ネットで『光速のう〇こをしたらどうなるか?』という検証がネタになりましたが、その時の結論は『地球が滅びる』とのことです。それだけ光速と言うのは恐ろしい力を秘めているんです』
チ「とんでもないう〇こだにゃあ!」
剣『当然ながら、宇宙空間を移動する船がそんな速さで飛べば、爆散するだけです。かと言ってその速度が出せないととてもではありませんが星々を行き来することは出来ません』
チ「スピードを変えるだけではダメなのかにゃあ?」
剣『先ほども言いましたが光速では『足りない』んです。光速でこの有様だと、光速を超えて銀河を超えようものならそれだけで星系を一つ滅ぼしかねない破壊力があります』
チ「とんでもないんだにゃあ!」
剣『さらに言えば、それだけの破壊力があるなら必要なエネルギーもそれぐらいになります。先ほども言いましたが光速のう〇こはそれが出来るだけで地球を破壊できるなら、う〇こするだけでもそれだけの力が必要になるんです』
チ「気張り過ぎなんだにゃあ!」
剣『当然ながらそれが可能なだけのエネルギーを作り出す手段もありません。そこで、生まれたのがアウローラ航法です』
チ「にゃあ?」
剣『先ほども言いましたが相対性理論では『光速を超えることは出来ない』と言いましたね?』
チ「言ったんだにゃあ」
剣『では逆に光速を超えずに光速を超える方法があるとすればどうでしょう?』
チ「どういうことなんだにゃあ?」
剣『相対性理論と言うのは簡単に言えば二つの物体の相互の速度差のことを指します』
チ「???」
剣『例えば二つのボールがあったとします。双方が時速5kmで離れていくときは時速5km+時速5kmで10kmになります』
時速5km ←〇 〇→ 時速5km
← 時速10km →
剣『こんな感じで互いの動く速度や向きによって速度が変わってくるのです』
チ「互いに離れ合っている時は速いんだにゃあ」
剣『では次にこの二つのボールが同じ方向に向かっている時はどうでしょう?』
時速5km ←〇
時速5km ←〇
チ「永遠には離れないんだにゃあ」
剣『このように同じ方向を向いている時は速度差がゼロになるので止まっているのと一緒なんです。では質問です。この二つの球が光速で走っている場合はどうなるでしょう?』
チ「うーん……あれ? 光速なのに速度がゼロになるんだにゃあ!」
剣『このようにどんなに速い速度でも隣り合っている場合は速度がゼロになります。実際に宇宙は広がっていく速度自体が光速を超えているんですが、これは隣り合っていないから成り立つんです。隣り合っている物質同士なら、それほどの差は無いからこそ、光速を超えることが出来るんです』
チ「なるほどにゃあ」
剣『そして! この世界では『アウローラ』と呼ばれる宇宙空間を流れるエネルギーの川があるんです!』
チ「……エネルギーの川?」
剣『何故か宇宙空間の次元の裏側にこの川が星に沿って流れているんです。そして、この川は星に近づくとスピードが緩やかになり、星から離れると光速を超える速度で流れております!』
チ「ま、まさか……」
剣『アウローラ航法とはこの次元の裏側を流れるエネルギーの川を激流下りをしながら跳んでいるんです!』
チ「滅茶苦茶危険なんだにゃあ!」
剣『一応、この川の流れ自体は非常に整った流れになっており、流れの波に揉まれて船が潰れるまでは行かないんですが、物凄く揺れるので危険なのは間違いありません!』
チ「怖いワープの仕方なんだにゃあ!」
剣『他に方法が無いので仕方ないんです!』
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