第1話 戦場
ド――――んッ! キキぃぃぃぃぃぃぃィ!
バン!
――トラックに轢かれて、死んだ。
――――――ぷつんっ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「あれ?」
「あなたは転生しました」
「はい?」
「あなたは転生しました」
「ふぁ?」
「あなたは転生しました」
ここは……どこだ? 記憶がない。思い出せそうで思い出せない。
「えと……それで、あなたは誰、ですか?」
「私は女神です。あなたは転生しました」
「あ、女神……ですか」
視界が真っ暗だ。女神って……転生って……どういうことだ?
「はい。あなたは転生しました」
「あ、それは……わかりました」
転生? そのせいで記憶がないのか? でも、なぜ何も見えない?
「あの、視界が真っ暗なんですけど……」
「はい、視界レベルを0にしています。もうあなたは異世界に転生しました」
もう異世界に、転生した……? そういわれても、元の世界のことすら覚えていないのだが。
「記憶はないままのか?」
「がんばって」
「え?」
「
女神が言うと、次第に視界が晴れてきた。眩しい……。
「ちょ、ちょっと待って!」
「ご武運を」
女神が本当に武運を祈っているか怪しい声で言ってすぐ、だんだん開けた視界の先に見えたものは――
「は?」
荒れ果てた……戦場だった。なぜ戦場だと、一目でわかったのか。それは、あからさまに、戦車やら、大砲やら、いろんな武器で攻撃しあっているのが見えたからだ。
――ドカンッ!
爆撃が耳に轟く。遠くに人も見えるが、声すら全く聞こえないほど遠い。
逃げたいとも思ったが、逃げても食料や水はどうするか。この広大な荒野で見つかる気がしない。絶対餓死する。目の前――と言っても、かなり距離はあるのだが、彼らに助けを求めるとしても、どちらの陣営につけばいいのやら。
敵のスパイとか思われたりしないだろうか。
「まあ……いっちょ行ってみるか」
ザッザッザ。俺はゆっくりと歩き始める。
「ん?」
思ったよりも足が沈む。土が結構柔らかいようだ。
「柔らかい土……」
まあいいか……。俺は何もしない事には餓死するしか未来がないだろう。空腹で悶え死ぬよりは砲撃で死んだほうがマシだ。
「よーし怪しいものではないですよ感を出しながらそろりそろりと近づいて気づいたら自然に馴染んじゃってるみたいな大作戦開始!」
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