第58話 砂の中の小石
【【【【ガチガチガチガチ!!】】】】
二度も攻撃を邪魔された【変異種】は【新二】を先に喰らうと標的を変え、森から次々増援を呼び。今となってはファイゼ村が収まりそうな程大きな黄色と白の斑模様の塊となって上空に浮かんでいる。
「こんなの見たらますます村へ行かせられねぇ・・・」
【新二】は何としても此処で【変異種】を仕留める覚悟を決め、【千時】を構える。
【ここ最近は余り無茶してないと思ってたら気のせいだった見たいですね】
「(久しぶりだな千時)」
脳裏に【千時】の声が久しぶりに聞こえ、思わず口元が緩む。
【今の【新二】君じゃあの【変異種】には勝てないわ】
「(そんな事分かってる)」
【あら、分かっている割には落ち付いているじゃない。何か勝算でもあるのかしら?】
「(この戦いの中で俺が成長すれば問題ない)」
【はぁ・・・最近貴方どこぞの教官に思考が似てきたわね・・・】
「(教官の教えに忠実と言って欲しいな)」
【あんなのただの死にたがりよ、でも貴方が強くなれる唯一の方法だから余り憎め無い所だけど】
「(それで【千時】は何か俺にか伝える事があって来たんじゃないのか?)」
【千時】は【新二】の言葉に扇でありながらため息を付く。
【最近妙に勘が鋭くなってません?】
「(俺は死ぬ気など元から無いし、いざとなれは【千時】が助けてくれるとおもってるからな)」
【私が前に助けを求めろと言ったのは貴方に危険な現場に突撃してと言うことでは無いのですが・・・】
【変異種】の塊は徐々に安定して回り出し、今にも【新二】に襲い掛かって来そうな雰囲気を出している。
【いいわ、使え無ければ死ぬだけだから教えてあげる。私の新しい力を引き出しなさい。そうすれば【変異種】に勝てるでしょう】
【千時】が言い終わると同時に【変異種】の塊が隕石のようにそのまま【新二】の上空に降ってきた。
【そんなの
【新二】は全魔力を解放させて巨大な深緑の竜巻を起こす。その【変異種】の塊と深緑の竜巻が衝突する姿は9.5キロ離れた【ファイゼ】村からも目視で認識がで来た。
「【ケインズ】、【マエダ】君、【ダース】君。どうかご無事で・・・」
【ロモッコ】は【寝ずの間】で北西の方角に向かい、両手を組み合わせて祈る。
【ハァアアアア!!!】
まるで両肩に巨大な岩石を乗せられて要るような圧力が【新二】にかかり、【新二】は凄まじい速さで消耗していく魔力を更に激しく消耗させ、【変異種】に押し潰されまいと抗う。
【風払い】
【嵐の揺りかご】
【シリウス】の緑の斬擊が【変異種】の塊を大きく削り、【ワイド】の撃った矢が【変異種】の塊の中心へ吸い込まれると、繭のように細い斬擊の嵐が中心部を消失させる。
「【シリウス】さんに【ワイド】さん!!」
「【ジルコニア】達は無事に村へ避難で来そうになったらか応援に来たよ」
「僕もコイツらにはリベンジしたいと思ってたところだったし、丁度良かった」
「よし!!じゃあ三人で【変異種】さっさと片付けて村に戻ろう!!」
【【【ヨシ!!】】】
三人は拳を付き合わせ、【変異種】を此処で仕留める覚悟を決める。
【新二】と【シリウス】が大振りの攻撃で【変異種】を削り、隙間を縫うように襲い掛かってくる【変異種】を【ワイド】が仕留める。
それは事前に打ち合わせる事なく自然とそういう役割担った。
【ハァアアアア!!】
【風切り舞い舞い】
【新二】の深緑の斬擊が【変異種】の塊を切り裂き、【シリウス】の魔力を纏わせた剣によう技で多くの【変異種】が切り裂かれて絶命する。
【
大技の後、二人に出来た隙を埋める為に小さな矢が数千と周囲に近付く【変異種】に撃ち込まれ、【変異種】は二人に何も出来ずに地面に撃ち落とされた。
だが、いくら【変異種】を切り裂き、撃ち落としても【変異種】の塊は小さくなる処かむしろ少しずつ大きくなっている様にも見え、その不気味さに【新二】の額に冷や汗が流れ始めた時だった。
【間違いなく奴らは増殖しているわ】
「(それはどういう事だ【千時】?)」
【そのまんまの意味よ、おそらくあの塊の中に【変異種】を増殖させる親玉見たいなのがいると思うわ、その親玉を倒さない限りいずれ魔力が先に底を尽きて私達の負けね】
【新二】は直ぐに【魔力感知】に集中し、【変異種】の塊を探る。しかし桁違いの魔力反応の多さで親玉らしき反応は探しきれない。
「【ワイド】さん!!あの【変異種】の塊の中に奴らの親玉見たいなものがいないか感知出来ますか!!」
「えっ、親玉?!。かなり数が多くて難しいと思うけど集中すれば何とかできると思う」
「【シリウス】さん!!【ワイド】さんが探ってる間俺達で【ワイド】さんを守りましょう!!」
「分かった!!」
【オリャアアアア!!】
【
【新二】はワイドを中心部に巨大な深緑の竜巻を起こし、【シリウス】は更にそれを囲うように風の切り裂く障壁を作る。
【ワイド】は両目を閉じて【変異種】の一つ一つの反応を良く感知する。
数千万はいる【変異種】、一匹一匹は全くと言って良いほど同じ魔力反応。その捜索する作業は牛乳瓶に満杯に摘めた砂の中に入っている小石を探せと言うのと同じような感覚。
瓶を割り平面に砂を撒き散らせば簡単に見つかりそうだが、【変異種】の塊は切っても直ぐに元に戻る上に絶えず動き回っており、その感知は【ワイド】出会っても容易ではなかった。
「【ワイド】さん早く!!。もう魔力が持ちそうにない!!」
【シリウス】の障壁を突破され、【新二】の竜巻も半分程まで削られている。【新二】は歯を食い縛りながら【千時】を頭上で大きく降り回し、竜巻が簡単に消えないよう新たに風を注ぎ続ける。
「見つけた!!【レウスショット!!】」
突如構えた大弓から放たれた光の矢は【変異種】の塊のやや左上部の奥を貫き、体長10メートル程の巨大な女王蟻が地面に落下する。
「【マエダ】さんアレが【変異種】の親玉です!!アイツを倒せばこの戦いは僕らの勝ちです!!」
「ありがとう【ワイド】さん」
「やったな【ワイド】!!」
落下した【変異種】の親玉に向かって走る【新二】と【シリウス】。今【変異種】の親玉と最終決戦が始まった。
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