第39話 帝国本部
【英雄】【武神】【要塞】【賢者】【魔手】それは、各個人が十年に一度と言われるほどの才能と圧倒的な戦力を持ち、【訓練兵】ながら【黒鉄帝国】を支える六つの【兵士団】の次期【剣】候補となった者達の【二つ名】である。
【黒鉄帝国第六兵士団団長】であり、美しく長い白髪の女性【サオリ・アフルレイン】と秘書で空色でショートヘアの少女【ナタリー・グラウス】は帝国の黒剣に蔦科の植物が絡んだ紋章に【六】と書かれた馬車に乗って田舎道を移動していた。
【いくら考えても無駄ではありませんか?、あの人達は存在事態が奇跡見たいな人。そう易々と見つかってしまっては、折角あの人達を獲得した兵士団が泣きます】
「そうね・・・でも見つけないと私達【第六兵士団】の未来は無いわ・・・」
馬車で移動中、ずっと思い悩んでいる【アルフレイン】団長に【グラウス】は自身の意見を改めて主張する。
「はぁ・・・しかし【団長】自らが辺境の地似て、あの人達に対抗出来る子を探すのは少々無茶ではありませんか?」
「それだけ追い込まれているって事よ、よりにもよって帝国の武を預かる六つの兵士団の内、私達【第六兵士団】だけがあの子達を獲得出来なかったのはの正直かなり痛いわ」
【アルフレイン】団長は額に手を当て、重いため息を付く。
「あの子達は5人だけです。六つある兵士団の内、一つの兵士団が獲得出来無い事は初めから分かっていた事・・・仕方ありません。しかし【第六兵士団】の存続にまで影響は流石に思い込み過ぎでは?」
「【ナタリー】は歓楽的過ぎよ。あの子達は近い将来必ず兵士団の最高戦力である【
「そんな・・・いくら力不足とは言え、長年帝国を支えてきた兵士団の一つをそう簡単には解体出来ないでしょう!!」
【グラウス】は【アルフレイン】団長に強く発言するが、【アルフレイン】団長は首を横に降る。
「いいえ、帝国初期には10の兵士団が存在したとされてるわ。しかし理由は何にしろ今は六つの兵士団しか存在していない・・・可能性はゼロじゃないのよ・・・」
二人は重い空気のまま窓の外に広がる曇天の夜空と、何も無い平原を眺める。
ザワザワザワ・・・
「何?!」
【アルフレイン】団長の素肌に悪寒にも似た寒気が走る。
「どうかなされましたか?」
【アルフレイン】団長が身体をピクつかせたのを見た【グラウス】は団長に訪ねる。
「いや・・・なんでもないわ・・・」
再び馬車のソファーに身体を預けると、ふと眺めた空に、細い二つの魔力の柱が螺旋状に渦巻きながら天に向かって伸びていき、やがて消える。
【【セスタ】!!あの魔力の地点に向かいなさい!!】
「そう言うと思ってましたよ【団長】!!」
紺色の髪の男性【セスタ】は手綱に魔力を流し、二頭の馬の足まで伝達させると。馬の足を強化させ、先程の三倍以上の速さで平原を突っ切り、疾走させた。
同時刻。【バウンズ】兵士長は執務室でここ最近の【ナリカネ商会】の動きが纏められた報告書に目を通していた。
【怨みに飲まれたか【ナリカネ】・・・】
【バウンズ】は報告書の束を閉じると机の上に投げ、椅子を反転させて曇天の夜空を窓ガラス超しに眺める。
「昔の奴は人思いの奴で、勤勉で努力家だった・・・失恋はここまで人を変えるか【ナリカネ】よ・・・」
【バウンズ】は机の冷めた珈琲を口にし、深いため息を着いた。
「今までは昔のお前を信じ、戻る事を願って見逃していたが。流石にこれ以上の妨害は目に余る。年貢の納め時だな」
【バウンズ】兵士長は【ベイル】町一番の商会の会長。【ナリカネ】を逮捕する覚悟を決めた。
【なっ!?】
謎のプレッシャーが【バウンズ】兵士長に襲いかかり、ほぼ同時にかつての部下だった男の魔力を感じる。
ダッダッダッダッダ!!
「【バウンズ】兵士長!!」
廊下に慌ただしい足音が聞こえ、ノックも無しで【アルテナ】副兵士長が入室する。
「分かってる!!。早急に全兵士に連絡!!緊急警戒に当り【ザック】を見つけしだい私に報告せよと!!」
【了解!!】
【アルテナ】は【駐屯地】の廊下を走り、待機室に入るなり大きな声でいい放つ。
【貴方達、非番の者にも連絡しなさい!!【ザック】が町にあらわれたわ!!非常事態!!緊急警戒に当たりなさい!!】
「マジかよ!?」
「嘘でしょ?」
「せっかく良いところだったのによぉ!!」
兵士達はカードゲームや孫の手、手入れ中の剣、雑誌などを素早く片付け。準備に取りかかる。
静かだった【駐屯地】はたちまち蟻の巣をつついたように騒がしくなり、次々兵士が【ザック】を探しに出兵した。
「(【ザック】・・・私は言ったはずだ・・・【次は命を取る】と・・・お前は何しにここへまた来たんだ!!)」
【バウンズ】の瞳に怒りが宿り、十数人の兵士を連れ駐屯地の正門を潜り抜け、【ザック】の魔力を感じた方角へ走りだした。
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