第35話 植物バカ
「取り敢えずは今出来る事をするしかないわね」
【ロモッコ】は【メール】に紙とペンを渡し、営業妨害の抗議文を書くようにうながし、木板に書かれた日程表を見て出来るかぎり【メール】の護衛に【ロモッコ】自身か【ケインズ】【新二】が常に付くように塾考する。
「確か【マエダ】君は今日【サクマ】君と【リンド】さんの護衛で早朝から森に入ってるんでしたよね?」
「おう、寝ぼけながらも二人に付いていったよ」
「なら夜まで帰って来ないわね・・・帰ってくるまでに今後の予定を組み替えないとなぁ・・・」
【ロモッコ】は肩を回しながら木板の予定を白砂で全て消し、一から組み立て直し始めた。
「ほう、これはまた凄いものがありましたね!!」
「この植物はそんなに凄いのですか【サクマ】様!!」
森の洞窟の中に生える淡い光を放つ苔を見て【サクマ】と【リンド】が話をしている。
「ああ、この【
「と言う言は魔力回復薬を作る事ができますのね!!やりましたね【サクマ】様!!」
跳び跳ねて喜ぶ【リンド】の背後に、暗い影が忍びよる。そして暗い影が鋭い牙を向けた瞬間。深緑の閃光が走り、体長1.5メートル程の蝙蝠は真っ二つに切り裂かれ洞窟の奥へ吹き飛んだ。
【そろそろこっちも限界だ!!用がすんだならさっさと逃げるぞ植物バカ!!】
【新二】は二人を狙って次々近付く巨大な蟻、蜥蜴、蛾などを切り裂き、モタモタ植物に見いっている【サクマ】と【リンド】に罵声を浴びせてやっと二人は採集を始める。
「全く、もっとテキパキ動けんのかお前らは!!状況を考えろよ!!」
【きゃぁああ!!】
【新二】は【リンド】に飛びかかった巨大蝙蝠の足を掴み、反対側に出てきた巨大百足に投げつけると深緑の斬擊が二体の身体を重ねて真っ二つに切り裂き、赤と緑の血しぶきが上がる。
「全く鬱陶しいんだヨォオオ!!」
【新二】は【千時】を扇ぎ、深緑の突風が魔物達を切り裂きながら洞窟の奥へ吹き飛ばす。
「今のうちに逃げるぞ!!」
「「はい!!」」
パンパンに詰め込まれたリュックを二人は背負いながら洞窟の出口へ向かって走る。【新二】はゾロゾロと追ってくる魔物達を風の斬擊で妨害しながら二人の後ろを走った。
【全く自分が言うのもおかしいけど。君地達は死にたがりですか?!】
【サクマ】と【リンド】のリュックが満杯になり、これ以上の調査、採集は後日出直す事となった三人は【ファイゼ】村に向けて獣道を歩いていた。
「すみません・・・いつもは魔物のせいで行けない所も【マエダ】さんがいれば行けそうだったのでつい・・・」
後頭部に手を添えながら謝る【サクマ】に【新二】は大きなため息をつく。
「ついじゃねぇよ・・・あのな、俺も1、2回なら何も言わないよ。今日だけで12回だぞ?!。なんでわざわざ魔物の巣や、何か出てきそうな洞窟に突撃するん?。確かに【魔力感知】が出来るようになって視界の外だろうが魔物は認識出来るよ?だけど俺は一人しかいないんだぞ?回り込まれて一斉に襲いかかられたら流石に俺も全部は捌ききれないぞ!!」
「ついやってしまいました」
【サクマ】に続いて【リンド】のやってしまいました発現で【新二】は頭が痛くなり、額に手を添える。
「もういい、二人の植物熱を甘く見ていた俺がバカだったよ」
「「テヘヘヘ」」
「(ミサイル撃ち込まれて爆発すればいいのに・・・)」
物騒な妄想をしながらも三人は獣道を進み、森が開けて【ファイゼ】村が見えた。
【そんな?!】
【サクマ】が驚愕の声を上げ、【サクマ】の視線の先を【新二】と【リンド】も見ると、【ファイゼ】村から赤い火の手が上がっており、燃える村の姿が見える。
「うそでしょ!!」
【リンド】は両手で口元を多い、【新二】は目に映る光景を信じられずに数秒硬直する、しかしハッ!!と我に帰り【サクマ】と【リンド】を置き去りにして【新二】は村へ向かって山道をかけ降りた。
【動ける者は火を消せ!!】
口から血を流し、顔にアザが出来た門番の【ジーンズ】さんが、叫びながら手桶の水を燃える建物にかける。
【千時】
深緑の斬擊が燃える建物を粉砕し、二擊目の斬擊で地面を切り裂く。燃える残骸に切り取られた地面が覆い被さり建物の炎は沈下した。
「【マエダ】君大変だ!!村に覆面の奴らが来て!!」
「【ジーンズ】さん話は後で詳しく聞きます。まずは建物の火が外壁に移らないように消火します。水の魔法は使えないので土ですが」
【新二】はえぐった地面の補修や土砂によって埋もれた残骸の中から、思い出の品を探すのは苦労するだろうと思いながらも、外壁の保全を優先し。燃える建物は粉砕して土で埋め、燃え移りかけた建物は燃える部分を切り飛ばした。
「取り敢えず、消火は終わったか・・・ところで【ジーンズ】さん?、【ロモッコ】さん達の姿が見えないが・・・」
「・・・・・」
【ジーンズ】は視線を伏せると【新二】を【サイモン】の【マイホーム】へ連れていった。
「・・・・・」
嫌な予感がしつつも【サイモン】の【マイホーム】に入ると、所せましに怪我を負った村人が横たわり。呻き声を上げ、まるでそこは戦場の負傷兵を集めたテントのようだった。
「幸いな事にここは村の外壁の外にあり、覆面の奴らは近場の建物にしか火を着けなかったので勝手ながら【救護所】として使わせて頂いております」
「まぁ、【サイモン】も緊急時だで許すだろ」
「ちょっと痛いけど我慢してね」
「ぐぁあああ!!」
【新二】が消火活動している間に村に入った【サクマ】と【リンド】は今日森で採集した薬草の中から傷に聞く物を片っ端から調合し。怪我人に飲ませたり、塗ったりして手当をしていた。
「ふぅ・・・幸か不幸か【マエダ】さんと調査していたお陰でそこそこいい薬草や魔草があって良かったです・・・」
粗方村人の応急措置も終わり、【サクマ】は額の汗を脱ぐって一息着いた。
「【サクマ】さん。【ロモッコ】さん【ケインズ】さんと話は出来ますか?。【サイモン】さんと【メール】さんが居ない理由も含めて・・・」
【サクマ】は視線を伏せ、悲しい表情をしながら【新二】を二人の元へ案内した。
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