第26話 新しい目標

「俺が【ロモッコ】さんを【兵士長】にするって・・・どうやって?!」


「【ロゼッタ】の婆さんから、テメェらこの村の成り立ちを聞かなかったか?【数多くの種類の植物や動物】が多く分布していたと」


「つまり、【新二】君が多くの種類の植物と動物を帝国に献上することで功績を出し、監督している私の階級を上げるってことね」


「おおむね正解だ、帝国には献上するが全部じゃねぇ。ただ帝国に献上するだけなら功績をクソ【貴族】や【兵士長】に取られるかねねぇからな。だからまずは【ベイル】町を取り込む」


「取り込むとは?」


【サイモン】に【ケインズ】は疑問を投げ掛け、【サイモン】は全員の顔を見渡すように話す。


「一様テメェらは【ベイル】町からの派遣と言う形になってるはずだ。なら当然階級を上げる権利は【ベイル】の【兵士長】が持っている」


「だから【ベイル】町に魔物の素材を多く流し、功績を上げて階級を上げるのね」


「確か【兵士長】は自身の階級の一つ下まで部下の階級を独断で上げる事ができたはずだな」


【サイモン】の計画に【ロモッコ】【ケインズ】は記憶の中から情報を探して考えを言う。


「なら【アルテナ】副兵士長と同じ【四等兵士】までは上がれるわね」


「だが、【兵士長】は最低【五等兵士】は無いとなれないぞ?」


「だからまずは【ベイル】町と言ったんだい、その後は手広く大きな街や貴族を相手にし貿易をして更に階級の上の人から貰えばいい。仮にも【ベイル】町の【兵士長】と故意であり、階級も【四等級】ともなれば町や、村の指揮官レベル。そんじょそこらの【貴族】や【兵士長】じゃそう簡単には消せねぇ」


「そう言うこと、しかし【サイモン】君。私はどうして【サイモン】君がそんなに詳しいのか疑問に思うわ、信用はしているけど疑いもしているわ」


「なに。昔どうすれば師匠をかを色々調べた事があっただけだい」


「ごめんなさい、野暮な事を聞いたわ」


「別にいいんだい。だがこの計画では【マエダ】の旦那が多く魔物を狩る事と魔物を裁き切れる事にかかってくる。やっぱり【マイホーム】と商人は必須やなぁ・・・と言う事で明日から【マエダ】の旦那、力かせやい!!」


「あっ、はい!!」


「【ケインズ】私達はなんとしても商人を獲得しなければなりません」


「はい!!もう一度心当たりが無いか探してみます」


こうして会議は終わり。村を守る為に階級を上げる行動が始まった。


「へぇーテメェの【心器】なかなか切れるじゃねぇか」


【新二】は【サイモン】の【マイホーム】を作る為の、レンガを作る為の竃を作る為に良質な粘土層を探して山肌を【千時】で削っていた。


「魔力を纏って切れ味を更に上げてますからね」


深緑色の斬擊が地面に走り、表面の土がずり落ちて中の地層が露になる。


「うーん、悪くはねぇけどなぁ。なんか物足りん」


【サイモン】は槌で地層を削り、欠片をモミモミするが、直ぐに投げ捨てる。


「もう少し奥まで入れるか【マエダ】の旦那」


「ここから先は未探索のエリアになるんであまり行きたくは無いですね」


「そうだよなぁ」


【サイモン】は槌を片手で振り回す手遊びをしながら歩き、小川の音が聞こえてきたので【サイモン】は【新二】に休憩するか訪ね、二人は音の方へ歩く。


「こんな所に小川があるとはね、後で【ロモッコ】さんに報告しなきゃな」


「ん?この香りは・・・」


小川にころがる大きめな石に腰を卸した【新二】と真逆に【サイモン】は小川の中ある石や砂に注目する。


【あったぞおおおお!!】


突然大きな声を出した【サイモン】に【新二】は身体をびくつかせて驚く。


「何があったんですか?!」


「【石灰】だよ!!」


「【石炭】?!」


【新二】にはただの白い泥にしか見えないそれを【サイモン】は綺麗な石を見つけた子供のように大事そうに【新二】に見せる。


「この小川の上流に石灰岩の地層が出ているポイントがあるはずだい!!早よ行こ!!」


小川をサクサク昇る【サイモン】を追って【新二】も靴をびちゃびちゃにしながら後を追った。


小川を上り始めて1時間、小川は洞窟の中から流れて来ていた。石灰と見られる白い泥は徐々に多くなり、まるで田んぼの中を歩くような感覚に近い。


「ちょっと待ちな」


【サイモン】は適当な木の枝を折り、背負ってきたリュックからボロ布と油、細長い鉄の棒を取り出すと布を枝に巻き付けて油を滴し、松明を作る。そして石の上で鉄の棒を槌で打ち、火花を発生させて松明に火を着けた。


「さぁ行こか」


やけにご機嫌な【サイモン】を先頭に【新二】は【千時】を具現化させ、何時魔物が現れても切れるように警戒して進む。


洞窟内の高さ2メートル。横幅は4メートルもあり、中はあちこちで鍾乳石が見られ。気温も真冬のように寒く。流れる冷水によって【新二】の体力は徐々に奪われていく。


「痛った?!」


【新二】の足首に痛みが走り、右足を泥の中から上げると灰色の見たこと無い魚が食いついていた。


「そいつは【石灰魚せっかいうお】じゃねぇか」


「石灰魚?」


「【鉄喰らい】の魚版みたいな物だ、良質な石灰が多く取れる洞窟湖に住み着くんだ。大丈夫、毒は無いし精々10センチ程しか成長しん」


【サイモン】は【新二】の足首に食らいついている【石灰魚】を槌で殴り飛ばし、絶命させると何事も無かったように奥を目指して進み出し、【新二】も噛みつかれた足首を気にしながら後を追った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る