第24話 鍛治屋見習い【サイモン】
「【千時】だと?。聞かない名だな」
少年は記憶の中から様々な鍛治屋、刀匠、武器の名を思い出すがどれもと名前は一致しなかった。
「まぁ、【千時】は俺の【心器】ですからね・・・」
【新二】が苦笑しながら【千時】を具現化させると少年は目を見開き、【新二】の手から【千時】を取ろうとする。
「【心器】だと?!ちょっと見せろ!!ガアッ!?」
【千時】に少年の手が触れ用とした瞬間、【千時】が緑色の風を纏い。少年の手を弾く。
「イッ・・・テェ・・・」
「すみません、【千時】が勝手に反応して!!」
少年は【新二】に手を向けて大丈夫とアピールすると、手を抑えなからしゃがみ込んだ姿勢から立ち上がる。そしてその顔は笑顔だった。
「いゃー嬉しいわ、【優れた武器には意思が宿る】と言う。テメェの【千時】とやらはワイを拒否しただけの事。こんなド辺境で【ベイル】町でも見なかった【意思持ちの武器】に出会えるとはとんだ幸運やな」
少年は笑顔で【新二】に手を差し出す。
「ワイは【ベイル】町から来た鍛治屋・・・のまぁ、見習いだ。だがそんじょそこらの見習いより腕には自身ある男。【サイモン】だ。よろしくなぁ~」
【新二】は【サイモン】の勢いに若干置いてかれながらも【サイモン】の手を取り握手する。
「【前田新二】一等兵士だ、こちらこそよろしくお願いいたします」
「テメェ【一等兵士】で【心器】を具現化させたのか?!。どんだけ死にたがりなん?!」
「教官が悪魔のような人だったので・・・」
「そりゃ災難やったな。それでこの【鉄喰らい】ちゅう奴はその特性上良質な鉄になるんや。分割されてるちゅう事は他にも半身があるんやろ」
「あっ、はい。森の奥にこの4分の3と4体の亡骸があります」
「いまなんちゅうたテメェ?」
「あっ、はい。森の奥にこの4分の3と4の亡骸があります」
「テメェ、やっは死にたがりか?」
「結構死の局面に行く事が多いですね、あはははは・・・」
「ここにいたか!!【サイモン】村の鍛治屋を辞め・・・」
「ワイは残るぞ!!、鉄も目通しついたし。ここには【ベイル】にないオモシレェ物もあるしな」
突然現れた【ケインズ】の言葉を遮り、【サイモン】は主張すると。【新二】に笑顔を向けた。
「だが、【マイホーム】と【鉄喰らい】の回収は最優先だ、明日から作業に入るから手をかせぇ」
「はい!!全力で支援させていただきます!!」
「じゃ【ロモッコ】譲の所へ行くか!!」
「「【ロモッコ】嬢?!」」
驚く【新二】と【ケインズ】を無視して【サイモン】は話し続ける。
「色々今後の話をせないかん。それじゃあワイは失礼する。またの」
【サイモン】は【グランツ】【ベゼネッタ】夫妻に別れを告げると【駐在所】へ向かって歩きだし、【ケインズ】と【新二】も夫妻に軽く頭を下げて【サイモン】の後に続いていて行った。
「それでコレが【鉄喰らい】という魔物になるんですね」
【ロモッコ】は【新二】に引きずられて持ってきた【鉄喰らい】の半身を興味深そうに観察する。
「この【鉄喰らい】は上物や、特に爪、中心部は魔力の多い硬い鉄が取れる。今後住みかだった鉱脈も含めて村の鉄事情は大きく変わるだろうよい!!」
「そうですか、それは嬉しい知らせでありがたいですね」
「それでや、ワイの【マイホーム】の建設に村の外に新しく外壁とレンガ、セメントの調達を早く頼む。それと鉄を打つための石炭か魔力の多く籠った炭もな。まぁ、こっちもどうせねぇーだろうから樹木系統の魔物を沢山狩って来てもらえばワイが炭を作る」
【サイモン】の視線は【新二】に向き、【新二】はまだまだ魔物狩りが続くなと苦笑するしかなかった。
「成る程ね、分かりました。とりあえず【サクマ】君の畑を荒らした犯人は【鉄喰らい】であり。犯人も【マエダ】君によって討伐されたと言う認識でいいのね?」
「はい、また明日近辺の調査と【鉄喰らい】の回収に行きますので。それらが終わればまた村人達も畑へ出られると思います」
「分かったわ、危険の高い調査だからくれぐれも無茶はしないようにね」
「はい!!」
「【ケインズ】は【サイモン】君の【ホーム】制作を手伝って。【マエダ】君がこの前大量に切った木材がまだあったはずだから外壁の制作をしつつ、【マエダ】君の調査が終わり次第森に材料となりそうな物がないか調査して」
「はい!!」
「【サイモン】君ごめんなさい。今この村は見ての通り、人も材料も不足してるの。不便を、おかけしますが可能なかぎり支援はします。どうかこの村をよろしくお願いいたします」
「かまへんかまへん。ワイもこの村に少し興味が出てきたからな、多少の不便は我慢したるわ」
【ロモッコ】は【サイモン】に頭を下げると。【サイモン】は手を振りながら笑って言った。
翌朝、早朝。
「おはようございます、昨日は畑荒らしの件ありがとうございました」
【サクマ】は欠伸をしながら今起きてきた【新二】にお礼を言う。
「別に大丈夫だよ、【サクマ】さんの畑は、村の食を担う大事な事だからね」
「僕も期待に答えられるよう頑張ります!!」
「しかし【サクマ】さんは朝に強いですね」
「ええ、農業は朝早く涼しい時間に初めるのが基本ですから。まぁその分寝るのも早いので皆さんが日程を終えて報告するときには寝てるんですけどね」
【サクマ】は自嘲しながら後頭部を掻く。
「まぁ、それは仕方ない事だと思うよ。あと、今日再び森を調査するから。あともう少し待ってて下さいね、直ぐ【サクマ】さんや村人が安心して畑に行けるようにしますので」
「【マエダ】さんこそゆっくりでも良いので安全に調査をしてください。村の農業は僕じゃなくても出来ますが、村の防衛は【マエダ】君が最高戦力なのですから」
「【サクマ】、それは違うぞ。確かに武力の最高戦力は俺かもしれないが。農業の最高戦力は【サクマ】さんで変えが効かないのは同じだぞ」
【新二】は【サクマ】の右肩を軽く叩いて言うと、少し憂鬱になりながらも大事な森の調査へと向かった。
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