第6話 心の武器
「【
「そうだろう?」
【マーティ】先生の言葉に【ブラウン教官】は同意する。
「【マーティ】先生、俺の中にあった【千時】、【心器】って何ですか?」
「【心器】は簡単に説明すると自身の心が武器として【具現化】したものだ。心の底から強く願うと稀に願いが具現化する事がある。その形は人それぞれであり、同じ物は無いと言われている。
【心器】の特徴としては何かしらの力が宿っている事が多く、訓練次第では使用者に更なる力を与えるとも言われている。
だが、当然リスクもある。【心器】はその性質上、使用者と一心胴体。仮に【心器】が砕かれるような事があれば使用者は無事では無いだろう・・・」
「最悪死ぬって事ですか・・・」
「否定はしない・・・」
2日後、【マーティ】先生から訓練の許可降り、【新二】は久しぶりにグラウンドに足を運んだ。
「今日の訓練は荒れたグラウンドを整地、並びに【心器】を制御する訓練を行う。【心器】を具現化させたまま1日でグラウンドを整地せよ以上、始め!!」
【ブラウン】教官が荒らしたらグラウンドを何故自分が直さなければならないと、【新二】は苛立つが。一様【教官】による訓練のメニューなので文句を言うわけにもいかず、【新二】は荒れたグラウンドを改めて観察する。
グラウンドには幾つもの大きな地割れがあり、隆起した地面が重なっている。範囲はほぼグラウンドの半分にも及び、地球では重機を幾つもの投入して丸一日は軽く掛かるような状況だ。
「(明らかに1日で終わる分けがない。だが、何もしないで拳骨はもらいたくないな・・・)」
【新二】は【千時】を具現化させると、試しに地面を切ってみた。
「そう言う事か・・・」
地面は紙のように容易く切れ、【新二】の頭には荒れたグラウンドを切り崩し、平らに整地するイメージが浮かぶ。
「嫌でも、やるしかないなぁ・・・」
隆起した山を切り、割れた地面を埋める。スコップの百倍切れる扇とは言え、切るだけで土を運べる訳じゃない。時間はどんどん過ぎていき日は傾きかけている。
「(このままじゃ不味い・・・)」
全体の10分の1すら完了してない整地。気持ちばかりが焦り。汗が額を滑り落ちて地面に染みを作る。
【いっそ掘るのを辞めたらどうですか?】
【千時】が新二の頭の中に話かけてくる。
「(何もしないで拳骨食らえっていうのか【千時】!!)」
「そうは言っていません、貴方が猿でも使える力を使わないから言ってるのです」
「なぁにぃ?!」
【新二】は作業を辞めて【千時】を見る。
「ハッキリ言わなければ貴方の貧弱なおつむには伝わりませんか?。私で直接地面を切らなくても斬擊をイメージしながら振れば地面はきれるのです」
「そう言うのはもっと早く言ってよ!!」
【新二】は地面を切り裂くイメージで【千時】を振るうと【千時】から無色の斬擊が振り出され地面に深い切れ込みを入れた。
「本当に切れた・・・」
「何を寝ぼけた事を言ってるのですか?、魔力を乗せて振れば割り箸だって地面を切り裂けます」
「それは常識的おかしいだろ?」
「それはこちらの台詞です!!貴方はいつまで地球にいる気です?。ここは異世界、今までの常識は通用しない!!お分かりですか?」
「はい・・・」
その後も【千時】に怒られなが【新二】は地面を切り裂き、日が沈む頃にはグラウンドに地割れや隆起した山は無く、見事に耕された土が広がっていた。
【整地をしろとは言ったが誰が畑にしろと言ったぁ!!】
【ブラウン】教官は【新二】の頭に拳骨を落とし、【新二】の視界は暗転した。
翌朝、早朝グラウンド。
「今日の訓練は昨日耕したグラウンドを硬化させることだ以上、始め!!」
【新二】は畑のように柔らかい土をどうやって固めようか考える。
「(土を固めると言えばコンクリートのローラー?、昔歴史の授業でまなんだタコと言う木槌?流石に足で踏みしめただけじゃあの鬼教官は納得しないだろうな・・・)」
また昨日みたいに【千時】がなんとかしてくれるのかなと期待しつつ見つめるが【千時】は無言を決め込んでいるようで無駄だった。
仕方なく【新二】は丸太に切れ込みを入れ、先を尖らせた枝を2本打ち込んでタコを作り。ペタペタ地面に打ち付けてグラウンドを打ち固め始めた。
「そこまで、今日も拳骨だな」
夕方になり【ブラウン】教官が終了を告げたが。整地はまだ半分も残っており、今日も拳骨を食らって【新二】の視界は暗転した。
【千時】を具現化してから1週間がたった。【ブラウン】教官は毎日【新二】に訓練か疑問に残る課題を与え、【新二】は嫌な顔をしながらも逃げる事無く訓練に励み。毎日拳骨を貰っていた。
【【新二】、何故教官の拳骨をわざわざ食らうのですか?】
「どうしてって、訓練の目標を達成出来なかったから?」
【新二】はもう自分しかいない宿舎の窓を雑巾でふきながら、頭の中に話しかけてくる【千時】に答える。
【【新二】はドMですか?】
「はぁ?バカ言うな、食らいたくて食らってる訳じゃない!!」
雑巾をバケツに投げ入れ。八つ当たりするように洗うと【千時】は小馬鹿にしたような声で【新二】を煽る。
【痛いから逃げるなんて子供でも出来るのに、【新二】は子供以下の単細胞ですね】
【新二】の眉間に皺がより、右手に【千時】を具現化させ、バケツにの中に放り込む。
【ああ可哀想な私、こんな乱暴な男に遣えなければならないなんて・・・】
「・・・黙れ」
【新二】は黒い笑みを【千時】に向けると【千時】は淡い紫の光となって【新二】の胸の中へ逃げるように消えた。
【ふふふ・・・少し貴方をからかって見たくなっただけですよ】
自身が創造した【心器】とは言え、ここまで人格があるのは想像外だったと。【新二】は深いため息をついた。
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