ライソの追加って難しい
やっぱり僕は恋愛運が悪い。漫画やラノベなら好きになった子と、同じクラスになったら、イベントがあって直ぐに仲が良くなれるんだと思う。
でも現実は非常……実さんこと
でも正義君こと織田正義君も同じクラスだったのだ。仲の良いイケメン幼馴染みがいるのに、ぽっと出のフツメンと仲良くする必要性は少ない……絡んでないから、当たり前なんだけどね。
入学して一週間たったけど、僕は秋吉さんとまともに話が出来ていないのだ。
でも悪い事だけじゃない。恋愛運こそ悪かったけど、仲の良い友達が二人も出来ました。
「いつ見ても凄い人気ですよね」
溜息混じりに呟いたのは、
竜也の視線の先にあるのは、織田君の席。そこには大勢の女子がいた。昼休みという事もあり、他のクラスや違う学年からも女子がやってきている。
「寄りによって、あんなイケメンと同じクラスになるなんてな……お前達、二人がいてくれて良かったよ」
苦笑いを浮かべたのは
徹が愚痴るのも、当然だと思う。
僕達ではどう足掻いても、織田君に勝てないのだ。
織田君は、イケメンな上に正義感も強く誰にでも優しい。しかも入部一週間でサッカー部のレギュラーになったそうだ。
結果、噂が噂を呼び、大勢の女子が教室にやって来る。
当然女子と仲良くしたい男子は織田君の取り巻きとなり、輪の中へと加わるのだ。
「しかし、見事にクラスが三つに分かれたよな」
我がクラスはまだ一週間しか経っていないのに、綺麗に三つに分かれているのだ。
まずは織田君や秋吉さんを中心としたカースト上位の陽キャグループ。そして趣味の話に花を咲かせているオタクグループ。
「俺達は、どっちにも混じれないからな」
徹の言う通り、そのどっちにも混じれない僕達。今も男三人で昼飯を食べている。
「この間陽キャグループの近くを通っただけで、舌打ちされたんだぞ。絶対に無理だよ」
それ以来カースト上位グループには近づく事すら出来ない。イコール秋吉さんともお話が出来ていません。
「僕はもう一つの方も無理だよ。大好きだったスマホゲームにずっとログイン出来ていなくて、話が合わな過ぎて変な空気になったんだ」
竜也が苦笑いを浮かべる。僕達と話が合わないのは陽キャグループだけじゃない。
オタクグループとも話がかみ合わないのだ。
何しろ三人共、リア充じゃないのに、リアルが忙しい。
竜也は習い事が忙しいし、徹も家の手伝いをしているそうだ。
僕は僕で仕事が忙しい。高校生になったので、働ける時間が伸びたんです。
お陰でオタクグループの話についていけないのだ。アニメやゲームも好きだけど、忙しくて触れる余裕がないんです。
「僕は週四でバイトだから、部活も無理だよ」
バイトさんもいるけど、身内は使いやすいらしく、日々修行兼アルバイトに勤しんでいます。
「同じく僕も部活は無理かな」
竜也に何の習い事をしているか聞いたら、上手くはぐらかせらた。仲良くなれたとはいえ、まだ一週間。無理に聞かない方が安全だと思う。
「右に同じく……信吾、唐揚げもらうぞ。流石は洋食屋の息子、肉の味を活かしている」
ちなみに弁当は僕の自作だ。弁当は見栄えやバランスを考えなきゃいけないから、良い修行になるらしい。
「ブロイラーでも丁寧に育ている養鶏場だから、店でも重宝しているんだ」
店で地鶏も使っているけど、流石に弁当には使わせてもらえない。
「卵焼きもらっても良い?購買のパンばかりだと飽きて」
竜也はいつも購買でパンを買っている。料理人(見習い)としては放っておけない……正直に言えば誉められたいんです。
爺ちゃんも父さんも駄目だしばっかりだし。
「うん、良いよ。ちなみに今日の卵焼きはコーン入りだぞ」
爺ちゃんにも誉められた自慢の一品である。
二人とわいわい騒いでいたら、視線を感じた……織田君?
「ねえ、みんな折角同じクラスになったんだから、ライソグループ作らない?」
それ、必要?僕は竜也と徹以外とは絡む自信ないぞ。でも取り巻きグループのテンションはマックスに。とても断れる雰囲気じゃない。
◇
バイトを終えて、スマホを見たら物凄い通知が届いていた……陽キャって、どうして皆が仲良くなれるって思えるんだろう?
ライソで盛り上がっているのは、陽キャグループのみ。しかも身内ネタばかりだから、会話に参加しづらい。お前等だけで行ったカラオケの話題なんてのれないっての。
(うわっ、アイコン弄り始めたよ。最悪だ)
陽キャの一人がオタクグループのアイコンをいじり始めたのだ。
僕としてはアニメのキャラより、自撮りアイコンの方が信じられないんですけど。
ちなみに僕のアイコンは店のロゴだったりする。
……秋吉さんを追加したら、驚かれるかな。いや、クラスメイトだから、平気だよね。
一人で悩んでいたら、ライソが荒れだした。
正義“田中君、佐藤君。実ちゃんに、しつこく絡むの止めてあげて。困っているから”
どうやら陽キャグループの何人かが秋吉さんにライソしまくっているらしい……うん、追加しないで良かった
そこから田中君と佐藤君に非難の嵐が殺到。逆に織田君は女子から拍手喝采……しつこいの駄目だけど、わざわざ個人名をさらさなくても良いと思うんだけど。
でも、こんな時は傍観するのが一番だ。陽キャグループにもオタクグループにも所属していない僕に話を振る人なんていないと思う。
祭“さっきから黙っているけど、良里はどう思うの?”
夏空祭、身長も色々大きいサバサバ系のギャル。誰にでも分け隔てなく、接するから僕も話をした事はある。
空気を読むのなら、僕の叩くべきなんだろう。そうしないとブロッサムに馴染めない。
でも、なんか嫌だ。竜也と徹に空気がおかしくなったら、助けてってライソをしておく。
ヨシザト“二人の味方をする訳じゃないけど、僕には叩く権利なんてないから。そこまで立派な人間じゃないし”
念の為、適当なスタンプを追加して、お茶を濁しておく。
僕も秋吉さんを追加しようか悩んでいたんだ。二人を責める権利なんてない。
案の定、ライソグループはお通夜状態に。
リュウヤ“話変わるけど、僕この間スリーハーツのジュンに会ったよ。一緒に写真も撮ったんだ”
スリーハーツは今大人気の三人組男性アイドル。そして添付された写真には確かにスリーハーツのジュンと写っている竜也がいた。
流石は人気アイドル。そこからライソの話題はスリーハーツが中心に……明日、竜也におかずを作ってやろう。
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