第2話
「ハア~これくらい集めればいいだろ…」
俺は額の汗を腕で拭い上を見上げた。
気付けばもう夕日が沈みかかっていた。
「…流石に今日は持って行けないな」
俺は家の外に置いてあった台車に山の如く詰まれているアカダケを見た。
採取した数はキッチリ150個…数えながら入れていたから大丈夫…なはず
途中疲労が蓄積して飛ばし飛ばしになっていたような気がするけどまぁ大丈夫だろう
だがここまで採れるとは思っても見なかった。
ここは俺の家から3分ほど歩いた所にある秘密の場所で
アカダケが大量に採取できる穴場でもある。
ここはモンスターも来ないから安心して採取に集中できるし数日たてばまた生えてくるから何度でも採取が出来る。
ゲームでも大変お世話になったから忘れもしない。
「じゃあ夜になる前にさっさと家に帰らないとな…」
俺は台車を引き来た道を通って家に帰った。
・
・
・
・
そして翌日
俺は早めに起きて納屋に入れておいたアカダケを確認した
「…まさかこんなにあったとは」
昨日は150個かと思って実際数えてみたら180個もあった。
って事は18回分の報酬と経験値が貰えるのか…初めで結構稼いだな…
とは言っても序盤のクエストだから大したことは無いけど武器もスキルも無い現状じゃとてもありがたい事だ
あの街に向かう途中にもモンスターはいるがスライムしかおらずこっちから手を出さなければ何もして来ない
エリスがいれば素手でも…ってあぁ!!
行く前にエリスを誘おうとしたけどすっかり忘れてしまった…
二人で持っていけば同じ経験値が貰えたのに勿体ない
かといって今戻るのもな…
「仕方ない…ヒーラー専用の杖を買って帰るか」
アカダケの依頼報酬は300Gだから18回分で5400G貰えるから多少高い武器も買えるしな
武器さえあれば討伐クエストも受けられるようになるしこれで立ち直ってくれればいいんだが…
そんな事を考えながら台車を引いているともうギルドが見える所まで来ていた。
「お、もうすぐで着く…って何だ?」
ギルドの入り口に人だかりが出来ていたのが見えた。
俺は気になって急ぎ足で向かい到着すると窓から中をを見ているようだ。
(こんなイベントあったか…?しかも序盤に…)
もしかしたらサブイベントを見逃しただけかもしれないと思い
人混みを掻き分けギルドの中に入った。
中に入ると真ん中に大きな円卓が置かれていて熟練の冒険者たちが会議をしていた。
…が俺は無視してそそくさと受付嬢の所まで向かい報告をした。
「すいません。昨日受けた依頼の納品をしたいんですが…」
「あっ…アカダケの納品ですね…どれくらいあるんでしょうか…?」
会議の邪魔をしてはいけないと小声で声をかけたら小声で答えてくれた。
「はい…180個持ってきたんですが…」
「180個!?」
「はい…外にるんで確認してもらっていいですか…?」
「わかりました…ではいきましょう…」
そう言うと受付嬢は裏に回り右にあるドアから出てきた。
「では行きましょう…」
俺たちは会議の邪魔にならないように静かに外に出た。
出て入り口に扉を閉めるとお互い気が抜けたように息を吐いた。
関係ない事とはいえあんだけ重い空気の場所にいたら緊張せずにはいられなかった。
「はぁ…緊張しちゃいましたねぇ~」
「ええ…」
「あ!もしかしてコレですか?」
受付嬢は入り口の右端に置いておいたアカダケが積まれた台車を見た。
「ハイ、それです。」
少し目を離していたけど盗まれてはいないみたいだな…良かった
まぁ調合素材の一部なんて盗む奴なんていないか…
「はぁ~こんなに持ってこられたんですね…全部一人で採取したものですか?」
「はい、昨日遅くまで集めてたもので…」
「そうなんですねぇ…では確認するので少しお待ちください!」
「お願いいします。」
受付嬢は何か唱えながら付けていた指輪を前にかざすと集めたアカダケが指輪に吸い込まれていった。
まさかアレってゲーム中であったアイテムボックス的なモノか?
もしそれなら俺は何で持っていないんだ…アレが無いと後々詰むんだけど…
「あの…すいません」
「ハイ!何でしょうか?」
「その指輪って何処で手に入るんですか?」
「このボックスリングですか?あ!ちょっと待っててください!」
何かを思い出したのか受付嬢はギルドの中に入って行った。
俺はその場で待っていると小さい小袋を持って戻ってきた。
「お待たせしました!こちらをどうぞ!」
そう言って小袋を渡され中を見ると何もそう装飾されていない指輪が入っていた。
(さっき受付嬢が持っていた指輪と同じものだ…)
って事はボックスリングなんだろうがどうやって使うんだ?
取りあえず付けてみるかとリングを取り出しはめてみた。
その瞬間、目の前にアイテム欄のようなものが現れた。
「!?」
付けた方の腕を上げると出てくるのか…出すときはどうするんだ?
出ている画面を試しに触ってみると触った所が光った
欄の右上を見ると【5400G】と表記されていた。
(おお…)
序盤でこれだけの金を手にれたのは大きい。
今にも装備が買いたくてウズウズしているが台車もあるし買物は明日にするか…
「確認出来ましたか?」
一人で考えていたら受付嬢が話しかけてきた。
「はい!どうもありがとうございました!」
「それは良かったです!」
「じゃあ今日はこれで失礼します。」
俺は台車の取っ手を持ち受付嬢に礼をして歩き出した。
「はい!またよろしくお願い致します!」
俺は再び台車を引き帰った。
・
・
・
「はぁ~疲れた…」
街を出た時には広がっていた青空が夕焼け空になったと同時に家に着いた。
「ただいまー」
って言ったもののこの家に住んでいるのは俺一人
親は死んでしまっていない。
両親は名の知れた冒険者だったが数年前に何者かに殺されてしまい
二人の子供だった主人公は殺された両親を殺した奴を探すために冒険者を目指すしてそこから色々な出会いを交わして成長していく物語。
…まぁありきたりなストーリーだよな。
プロデューサーはこれで売れると思っていたんだろうか?
それでも何か新要素があるんじゃないかと期待したもののそれも過去作からつまんで持ってきただけだったんだよな…
このゲーム定価で6980円だったがそれが5日で買取がいくらになったというと…
何と100円!!新ハードのゲームがそこまで落ちるって始めて見たよホント
…その定価で買った哀れな被害者リストには俺も入ってるんだけどね
このゲームで唯一の救いはキャラクターデザインと進行不能バグが起きなかったことくらいかな。
(それが無かったら買う気すら無かったけどね)
でもこのさきどうなるんだろうか?
このゲームから脱出するにはクリアしないといけないんだろうがいったいどれほどかかるのか…
エリスの件で今後ゲーム通りに進行しない可能性が出てきたし
仲間になったキャラも一体どうなることやら…
とりあえず明日はエリスを誘って装備屋に行ってみるかな
あ、あと冒険者登録もしないとな。二人で受ければ二人分の報酬と経験値が貰えるし…
「…あ」
そういえば大事な事を忘れていた…この世界ってレベルの概念があるのか?
いや…依頼の張り紙にも報酬しか載って無かったしないんだろうな
じゃあスキルはどうやって習得するんだ?
もしかしたら戦闘時に頭の中に浮かんでくる感じか?
マンガでもそんなの見たことがある明日試してみよう
って事で今日はもう眠りますかね、ではお休み~
そうしてそのまま眠り今日の一日が終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます